悲劇を招く無理なIT投資

「うちの倉庫は低価格でサービスします」と言っても限度はある。

大手3PL企業は多数の荷主を抱えることで、繁忙と閑散期の物流の波動を倉庫要員数や必要資源(スペースや棚、搬送器機など)を調整し効率化できる。時には戦略的な低価格で攻めることもある。これに合わせて安請け合いをすると、中小の3PL企業はまったく割に合わない。

 ある中小3PL企業が参加したコンペは、年商が数十億円の荷主の受注で、在庫管理と物流管理にSCM対応という高度なITを必要とする案件だった。

 大手の3PL企業は社内にIT部門を抱えており、顧客のIT要望にも多くの荷主をコントロールすることでITコストを低く抑えた提案ができる。

 それに対抗して中小3PL企業がIT化対応のためにシステムを外注化して開発し、何とか受注に結びつけたものの、ほとんどお任せ状態。低コストで開発したシステムには抜けが多く、運用が混乱し荷主の信頼が得られない状況が続いた。結局、大きな追加費用が掛かり、大赤字となった。

 「IT化で大手と勝負するな」と言いたいわけではない。中小3PL企業でも優れたIT物流提案で大きな案件を受注する事例はいくらでもあるが、このように単にコスト面だけで開発を行っていくと、「こんなはずではなかった」ことが山のように出現してしまう。

 そんなことを言うと、「コンピューターはわからない」「そもそもIT投資など、とても無理」と思われそうだが、当社のように物流システムに関して多くの経験を持ち、同じシステムを多くのユーザーに安く提供するASPサービスは徐々に増えているので、そういうサービスを活用するのも一つの手だ。

 大手のように自社物流にピッタリ合った、いわばオートクチュール仕立てのシステムは理想的だがコストがかかってしまう。しかし、つり下げスーツが安くて格好良いように、物流も低コストのASPで驚くほど効率化される時代なのだ。

ロジザード会長・遠藤八郎)

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2008年11月 8日

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