物流ウィークリーヘッドライン
仕事を経営的視点で見たとき、悩ましい考えが沸き起こる。
今自分たちの本業は仕事がない。なんとかお金を作らなければいけないが、金も借りられない。しかし幸い、健康な社員がいる。時間もある。ふと身の回りを見ると、本業ではないが、払いのいい小粒な仕事がある。そんなとき、本業以外であってもお金が入るなら、と目の前にある小粒な仕事をするか。そんなことをしても経費がかかって、最終的には赤字になるかもしれない。だから本業の仕事が入ることを心待ちに、無駄遣いをせずに節約、倹約に励むか。
どちらも最終的には同じお金が残るとした場合、あなたならどちらを選ぶだろうか。

思えば物流業界はここ20年来、この命題を引きずってきたような気がする。
しかし結果からみれば明らかで、前者のほうが間違いなく儲かり、成長する。短期的には同じ金額しか残らないかもしれないが、お金がもらえることを顧客ニーズと捉えれば、今は小粒であっても、明らかにビジネスチャンスに接しているからだ。また様々な収入源は、次に来る環境変化のダメージを下げることができる。
ある地方都市の運送会社にお会いした。
その会社は大きな自社倉庫も持ち、一流の荷主との付き合いもある。しかし、傍らでは福祉機器のレンタル事業や水の宅配、買い物代行から果ては園芸事業として花の栽培まで、あらゆる事業を手掛けている。
もともとのきっかけは、1990年代のバブル崩壊時に最大の荷主の貨物が急減したことだった。この荷主の運送業務を軸に、保管、流通加工と、本業を中心に徐々に周辺業務へ事業を拡大していたが、その構想は一瞬で吹き飛んだ。
そこで特定顧客、本業偏重の事業の怖さを思い知り、急な不況でも容易に倒れない事業を目指して、現在の事業構成になっていったという。
現在は福祉機器レンタル事業が主力事業になりそうなレベルに入ってきたとのことである。まだ成功の兆しが出てきつつある、というレベルのこの企業の判断には賛否両論が地元でもあるという。
だが、現在の優良企業は、必ずといっていいほど大きな経営危機の後にこのような決断を図っている。
時代とともに顧客も変わる。売上も、利益の取り方も変わる。節約、倹約は今の苦境をしのぐには重要だが、次の手を考えた上でなければ、単なる延命策でしかない。すべての企業に、次の手の決断の時期がせまりつつあると感じる。
株式会社ロジスティクス・サポート&パートナーズ
http://www.logi-sp.com
専務取締役 中根 治
「1ランク上の物流へ」をコンセプトに、交渉によるコスト削減一辺倒の日本の物流を変えるべく、現場出身の経験豊富なメンバーが日夜改善活動に主体的に取り組み、「儲かる物流」実現のサポートを行う。
また、日本の物流の実態を正確に掴むため、業界専門誌と連携しトラック実勢運賃調査、物流現場生産性調査など、現場の生の情報を発信し続けている。
現在、これらの情報をより現場で働く人にダイレクトに届けるために、物流情報ポータルサイト「物流解決ねっと」を運営、より多くの現場で働く人、物流で悩みを抱える人や企業のパートナーとなるべく活動を続けている。
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物流情報ポータルサイト「物流解決ねっと」
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<前回までのコラム>
第5回:「短絡的合理性」
第4回:「成果報酬契約をしたいなら」
第3回:「やる気を削ぎ続ける国」
第2回:「元請け-下請け構造を疑え」
第1回:「儲かる物流のかたちとは」
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