第2回:物流管理のために生み出された物流ABCの3つのポイント

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第2回:物流管理のために生み出された物流ABCの3つのポイント

2007年3月22日

物流活動をコストで管理するためには活動とコストの因果関係を明確につかむことが重要であり、物流ABCはこのために必要なデータを過不足なく提供してくれるということを第1回で述べた。今回はこの物流ABCについて、およその外形をわかっていただくための話をすることしたい。

ABCの正式名称はActivity-Based Costingであり、日本語では「活動基準原価計算」と訳される。ABCのルーツは製造原価計算にある。製品別の原価を正しく算定するために、間接費を「活動(アクティビティ)」別にとらえたうえで、製品に配分する手法が有効であるとして、1980年代後半の米国で理論的構築がなされたものである。

その後、ABCの多様な分野への用途開発が進み、「中間流通業の企業価値を明示するためのABC」「ホワイトカラーの生産性をあげるABC」といったように、それぞれの目的にあわせて算定ルールを定めた「いろいろなABC」が登場している。物流ABCもこのように派生的に生み出された技法の1つであり、ABCの特徴である「活動別にとらえる」というところを踏襲したうえで、「物流管理に使える」という目的にあわせて、物流コストの発生メカニズムがつまびらかになるような工夫を施したものである。


◆物流ABCの3つのポイント

物流ABCでは物流活動を「アクティビティ」に切り分けてコストをつかむ。商品をピッキングするのにいくらかかる、これを検品するのにいくら、梱包にいくらというように、アクティビティごとにコストをつかんでいくのである。

百聞は一見に如かず、ということで算定例を見ていただきながら、物流ABCのポイントを説明しよう。(表)

この算定例はある卸企業の物流センターにおける算定結果の抜粋である。「物流センターにおける」ということ、すなわち、コストが発生している場所でコストを計算するということが、物流ABCの第一のポイントである。

表の縦に並んでいるのがアクティビティであり、センター全体で40余アクティビティを設定したうちの一部である。アクティビティの右にある「単価」は各アクティビティを1処理するのにかかるコストで、円/ピース、円/行というように単位がアクティビティごとに異なっている 。単価は、ある算定期間においてかかったコストを同じ期間の処理量で割って求めたもので、この卸企業では半年間の平均単価を計算し、半年ごとに更新して用いている。

さて、物流ABCにおけるコストは、この単価に処理量をかけて求める。算定例の表では6月の処理量×単価で6月のコスト、7月の処理量×単価で7月のコストが求められている。合計欄に示されているのはすべてのアクティビティコストの合計値であり、このセンターの月間コストということになる。

コストをこのように単価×処理量の形でとらえると、コストと活動の因果関係が一目瞭然になる。アクティビティ別の処理量の変化を見れば、「7月は返品が多く6月の2倍近くもあった」とか、「大型品やオリコン出荷品の比率が上がってきた」というように、活動内容の変化を数字でつかむことができる。そして、どの活動の変化がコストをどれだけ増やしているかということが、すべてわかるのである。これが物流ABCの2つめのポイントである。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

株式会社湯浅コンサルティング 代表取締役
湯浅 和夫氏

湯浅和夫 1946年  埼玉県生まれ
1969年  早稲田大学第一商学部卒業
1971年  同大学大学院商学研究科修士課程修了
1971年  日通総合研究所入社
1996年  同社経営コンサルティング部長
1999年  同社取締役
2001年  同社常務取締役
2004年  3月、同社を退職
2004年  4月、株式会社湯浅コンサルティングを設立し、代表取締役に就任。現在に至る。

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