第30回: 顧客別物流採算の実態

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第30回: 顧客別物流採算の実態

2007年3月22日

さて、このセンターで出荷金額の大きい顧客3社について、出荷作業に関わる物流コストと採算を計算したものをみてみましょう。

まず顧客間で比較することができる指標は、表の上部に示した「コスト/粗利」「コスト/ピース」の2つです。「コスト/粗利」は採算を見る指標で、この連載の中で「物流比率」と呼んでいるものです。「コスト/ピース」は、顧客ごとの総コストをピース単位に換算した総出荷量で割ったもので、その顧客に一ピース出荷するのにどれたけのコストがかかるかを示す、いわば顧客別物流コストの原単位です。

最初に「コスト/ピース」のほうをみると、コストはC社が最も高く、次いでB社、A社の順。1番高いC社のコストはA社の2.7倍にもなっています。


実は、このコスト格差はあらかじめ、およそ想定されていたことでした。A社はディスカウントストア型の業態でロットのまとまった注文が多いので物流コストは安いだろう、逆にC社は大手スーパーで「C社シール発行」「C社出荷検品・シール貼付」といったアクティビティがあることからもわかるように、特別の作業をしているのでコストが多くかかっているだろう、とされていました。算定結果はこれを裏付けるものとなっています。

想定外だったのは採算のほうです。最大顧客であるA社の物流比率(コスト計/粗利)は56.1%で、収益はセンター平均よりも悪くなっています。(このもっとも、センター平均の50.5%自体が問題のある数字で、会社としてはこれを4割以内に抑えることを改善めどとしています) 。逆にC社は採算的には問題なし、最も問題があるのはB社です。B社のコストは、出荷作業コストだけで粗利を上回っています。これに配送運賃や営業経費を加えたら、B社との取引は売れば売っただけ、大きな損失を生んでおり、早急に手を打たなければならない状態であることが明らかです。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

株式会社湯浅コンサルティング 代表取締役
湯浅 和夫氏

湯浅和夫 1946年  埼玉県生まれ
1969年  早稲田大学第一商学部卒業
1971年  同大学大学院商学研究科修士課程修了
1971年  日通総合研究所入社
1996年  同社経営コンサルティング部長
1999年  同社取締役
2001年  同社常務取締役
2004年  3月、同社を退職
2004年  4月、株式会社湯浅コンサルティングを設立し、代表取締役に就任。現在に至る。

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