第22回:作業に合わせ処理単位を設定

連載トップへ

第22回:作業に合わせ処理単位を設定

2007年3月22日

◆ 処理量とは何か

処理量とは、各アクティビティを算定期間内(月間)でどれだけ処理したかという量である。「物流ABCが管理に使えるのは、コストと活動の因果関係が明確にわかるからだ」ということを、これまでも何度か述べてきたが、活動とコストの関係をみえるようにする「橋渡し役」が、この処理量である。

別の言い方をすると、物流ABCの特徴は、物流活動の実態を「アクティビティごとの処理量」という形で定量化して把握するところにあるといえる。その意味で、処理量という概念は、物流ABCにおいて、とても重要なものである。


◆ 処理量単位の設定

処理量はアクティビティごとに単位が異なる。アクティビティごとに「このアクティビティのコストは何に比例して増えるか」ということを検討し、最もよく比例するものを処理量とする。「コスト」を「作業時間」と読み替えてもよい。それぞれのアクティビティの作業負荷をいちばん的確に示す量を、処理量とするということだ。

具体的にみてみよう。上の表は、アクティビティと処理量の設定例である。

「ケースピッキング」の処理量はピッキングケース数、「ピースピッキング」の処理量はピッキングピース数、このあたりは特に説明は要らないだろう。その下の「ケース出荷検品」「ピース出荷検品」アクティビティの処理量は、ケース数やピース数ではなく「行数」となっている。

ここでいう検品作業はピッキングリストに記載された商品名・数量を現物と照合する作業であり、リスト一行ごとに作業している。100ケースの検品であっても、それが1軒の取引先からの注文であれば、検品は「1行」で済む。しかし、これが50軒の取引先からの注文であれば、「50行」分の照合をしなければならない。作業時間は出荷の物量よりも行数によく比例すると考えられる。

そこで、「行数」を処理量と設定しているわけである。さらに、「ピッキング準備」アクティビティのアクティビティは「受注行数」となっている。これはピッキング作業開始以前に、ピッキングリストをプリントしたり、それを仕分けたりする活動のことであるが、これも物量よりも行数に比例して作業時間が変わると考えられるので、受注行数を処理量としているわけである。

処理量の設定には、絶対の正解があるわけではない。例に挙げた「ピースピッキング」アクティビティでも、ピース数よりも出荷頻度に比例するとして、「ピッキング行数」を処理量とする場合もある。どちらによく比例するかという問題だけでなく、どちらを管理したいかということも重要なポイントである。出荷量の伸びは売り上げ増につながるので、いくら増えてもよいが、出荷頻度の伸びは必ずしも売り上げ増を伴わないのでしっかり監視しておきたいという意味で、出荷作業について、すべて行数を処理量として管理している物流施設もある。むろん、これも正解である。

 

筆者紹介

株式会社湯浅コンサルティング 代表取締役
湯浅 和夫氏

湯浅和夫 1946年  埼玉県生まれ
1969年  早稲田大学第一商学部卒業
1971年  同大学大学院商学研究科修士課程修了
1971年  日通総合研究所入社
1996年  同社経営コンサルティング部長
1999年  同社取締役
2001年  同社常務取締役
2004年  3月、同社を退職
2004年  4月、株式会社湯浅コンサルティングを設立し、代表取締役に就任。現在に至る。

関連書籍のご案内

GoogleAD