第8回:厳しくなった中国税関の対応

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第8回:厳しくなった中国税関の対応

2006年4月20日

 中国へ行き来されている方であれば、ご存じかと思いますが、中国の税関ではよく手間取ります。持ち物をチェックされ、取り上げられて返されるまで、非常に時間がかかります。香港・中国間で自社の製品を持ちながら行き来し、税関で止められて困ったという経験のある方も少なくないはずです。


 そんな中国での出入国時の税関申告が変わり、中国税関申告書の提出が全搭乗旅客者に義務づけられました。出入国時の税関対応が厳しくなったということです。これは、出入国時の手間が増えるという問題だけでなく、中国人の国外での消費への影響も心配されています。特に、香港での中国人による消費は非常に大きなものがあります。税関でのチェックがさらに厳しく、関税がこと細かになれば、香港での買い物に魅力がなくなってしまうため、最近では、「香港ドル=中国人民元」といったうたい文句で、中国人へのサービス向上や、集客を図る光景を目にします。


 それは日本でも話題になっている「人民元の切り上げ」とは、ある意味で反対の動きです。通貨の切り上げとは、通貨の価値を上げることですから、人民元の切り上げとは人民元の価値が高まることなのです。


 つまり、外国のモノやサービスを購入する場合(輸入)には有利になるわけです。このため、香港が中国人の買い物離れを心配するというのは、大きな流れで見たときには、正反対の動きのように見えるわけです。


 中国で手に入るサービスやモノがワールドスタンダードになるほど、香港の魅力が薄れてしまいます。それに加えて税関が厳しくなり、関税がしっかりとかかるようになると、当然、買い物客は香港から離れていきます。これは少し面白い現象です。こういったマクロな視点でも、中国の政策が垣間見られるようになるというのは、それだけ中国の影響力が大きくなっている証拠と言えるのではないでしょうか。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

ストラテジック・デシジョン・イニシアティブ(SDI)
原 慶之氏

原 慶之 ストラテジック・デシジョン・イニシアティブ(SDI)は、中国ビジネスにおけるリサーチ事業とアウトソーシング事業を中心とした中国ビジネスの実働部隊。
多くの企業が、実際に中国ビジネスを行う際に直面する様々な壁を、実際の実働と豊富な情報でバックアップし、顧客企業の中国ビジネスを成功へ導くソリューションを提供。
情報、実働、戦略を通して顧客企業の中国ビジネスをバックアップしている。

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