第9回:「君に物流企画課長をやってもらう」

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第9回:「君に物流企画課長をやってもらう」

2007年3月22日

「川田君から聞いたと思うが、8月の人事で君に物流企画課長をやってもらう」

「正式には来週辞令交付がある。それまで他言するなよ」

「おめでとう。いよいよ君も管理職だ、頑張ってくれ」

「・・・・・」

大久保は飛び上がるほど驚いた。

あまりにも突然であった。川田からは何も聞いていない。


「どうした、川田君から聞いていただろう?」

「・・・いいえ、何も・・・」

「えっ! そうか、あいつらしいな。あっははは」

「実は、あの提案書を社長から預かったときに、川田君に説明に来てもらったんだ」

「まあ、提言の域を出ないにしろ、良く考えられているので、当然、川田君がまとめたんだろうと思ったら、『大久保というのが中心になってまとめたんだ、彼は物流部でも逸材だから是非プロジェクトをまとめさせてみてくれ』というんだ」

「そうしないとこの計画はうまく進まないとまで言うんだよ」

「しかし、これだけのプロジェクトをまとめるには課長職以上でないと、と言ったら、あいつ、だから課長にしろと言ったんだ」

「前のプロジェクトでも、随分、川田君の力になったらしいな。絶賛していたよ。あっはは、川田のやつ、ひとが悪いよ」

そう言って、松川副社長は愉快そうに大きな声で笑った。

大久保は体中の血が流れていくのを感じながら、喉がカラカラになっていた。

「これは、俺からのお祝いの気持ちだ」

「何と言っても会社に入って一番うれしいのは、初めて課長になったときだからな。俺もそうだったからよく分かるよ」

「おめでとう」

「あ、ありがとうございます。あまり突然で・・・、何がなんだか分からずに、どうも失礼いたしました」

「ありがとうございます」

「うん。川田には黙ってろ、あっははは」

 

筆者紹介

東京ロジスティクス研究所
重田 靖男氏

重田靖男 1941年生まれ。早稲田大学理工学部卒業。
資生堂で、物流開発プロジェクト室長、物流部長、マーケティング本部長を歴任。資生堂物流サービス株式会社社長を経て、株式会社東京ロジスティクス研究所を設立。
現在は顧問として、荷主・物流企業をコンサルティングしている。

【委員】
日本ロジスティクスシステム協会企画開発専門委員長
物流技術管理士資格認定委員および講師
日本物流学会会員

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