第6回:「この提案書にあるSCM支援ソフトだが、どうなんだ」

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第6回:「この提案書にあるSCM支援ソフトだが、どうなんだ」

2007年3月22日

「問題は、小売店頭の動きを睨んで、追いかけながら生産供給する体制が必要なんだろう。

たしかに多すぎたことは否めないが、営業の声に引っ張られて、いっぺんに大量生産しちまうから問題なんだ。場合によっちゃあ、原材料の供給も含めて小口追いかけが必要かもしれない。新製品の場合は金型の問題もあるけどな」

松川副社長が、金型の問題と言ったのは、材料を成型する金型のことで、ひとつの金型から取れる生産数量が決まっている。

大量に生産が必要なときは時間をかけて生産し、備蓄しておかなければならない。

そうかといって、金型の数を増やしておけば、金型の製作単価は高いので材料原価を引き上げてしまうことになる。


発売後、需要が急増して増産しようにも、金型製作には時間がかかるため追いつかないといった事情があるのだ。

松川副社長と川田部長とのやりとりを聞いていた大久保は、松川副社長の鋭さにすっかり舌を巻いていた。
 
正直、その小気味のよい切り込みに興奮すら覚えていた。

松川の指摘がまさにSCMの本質を突いていたからだ。

「ところで野口君、この提案書にあるSCM支援ソフトだが、どうなんだ」

松川の矛先が変わった。

「はい。基本的な仕組みは、先ほど大久保が説明した通りで、非常に優れたシステムだと思います。ただ、何社かからプレゼンも受け、勉強もしてみましたが幾つか課題があります」

「うん」

「ひとつは、このシステムがERPを前提に出来上がっているということです。導入を考える前にわが社の基幹システムから変えなければなりません」

「ERPって、例の経営統合パッケージのことだな。そうしないと駄目かね」

「ベンダーの連中は、レガシー、つまり現行システムでも対応は可能だと言ってはいますが、相当のカスタマイズが必要で、費用も膨大になりますし、情報システム部の方でも感心しないと言ってます」

「情報システム部からの報告は聞いたが、ERPの導入は彼らも検討しているようだ。日本でもいくつか導入した企業があるらしいが、いずれもなんらかの問題があるようだな。なかなか思うように効果が出ていないようだ」    

 

筆者紹介

東京ロジスティクス研究所
重田 靖男氏

重田靖男 1941年生まれ。早稲田大学理工学部卒業。
資生堂で、物流開発プロジェクト室長、物流部長、マーケティング本部長を歴任。資生堂物流サービス株式会社社長を経て、株式会社東京ロジスティクス研究所を設立。
現在は顧問として、荷主・物流企業をコンサルティングしている。

【委員】
日本ロジスティクスシステム協会企画開発専門委員長
物流技術管理士資格認定委員および講師
日本物流学会会員

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