第25回:「マーケティングの戦略を考えなければだめだ」

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第25回:「マーケティングの戦略を考えなければだめだ」

2007年8月 7日

 「そうか。そうだったのか。面白そうだ。しかし博之、大変だぞ」

 ある晩、博之は思い切って、いま考えているアイディアを事業として独立したいことを両親に打ち明けてみた。瞬間、顔を曇らせた父親だったが、すぐに真顔になって賛意を表明してくれた。父は、ある大手の商社に勤務し事業部長まで登りつめたが、10年ほど前に独立して自ら食品関係の商事会社を経営している。母親は、ただオロオロと心配を露わにするだけだったが、独立した頃の父を必死で支えてきた母にしてみれば、「息子までがまたあの道を…」と思ったに違いない。


 新商品の生産は、父親が彼の商社時代の友人がやっている精密機械の会社に頼んでみてくれることになった。早速、パーツや資材を手配することになるが、需要がどのくらい見込めるのか、初期生産ではいくつ作るかを決定する必要があった。さらに、先行きの生産量の見通しを、いつ、どのような方法で見極めるか。

 「待ちなさい、博之。市場調査とマーケティングの戦略を考えなければだめだ」。そう言って、父親は次のような説明をしてくれた。

 ○市場調査によって、開発した商品の潜在需要を見極める。それには専門の調査会社に依頼するが、アンケート調査や訪問面接法などによってデータを収集し、これを統計的手法で分析して市場規模を推定する。

 ○マーケティングでは、4つのPといって、
・「Product」=商品・商品化計画・商品名
・「Price」=価格・売価・プライシング(価格政策)
・「Promotion」=宣伝計画・販売促進・キャンペーン
・「Place」=場所・チャネル政策・物流戦略(商品供給)

 これらの要素を計画して、相互の関連によって販売規模が決まる。これを『マーケティングミックス』と呼んでいる。

 博之は、真剣な眼差しで父親の説明に聞き入っていた。

 「そうか、自分が買い物をするときに、どんな条件で、何を基準にして買おうと判断するに至るのかを考えなければいけないんだ」

 つまり、それが購買動機であって、潜在需要を購買動機に結びつける戦略なんだなと納得していた。

 

筆者紹介

東京ロジスティクス研究所
重田 靖男氏

重田靖男 1941年生まれ。早稲田大学理工学部卒業。
資生堂で、物流開発プロジェクト室長、物流部長、マーケティング本部長を歴任。資生堂物流サービス株式会社社長を経て、株式会社東京ロジスティクス研究所を設立。
現在は顧問として、荷主・物流企業をコンサルティングしている。

【委員】
日本ロジスティクスシステム協会企画開発専門委員長
物流技術管理士資格認定委員および講師
日本物流学会会員

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