第20回:「サプライチェーン改革」

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第20回:「サプライチェーン改革」

2007年3月22日

大久保は、早速、先日の日焼け止めSPF─50の増産について検討結果を報告した。

川田は頷きながら、「うん、俺もいろいろ調査して見たんだが、どうもあれはヒットらしい。予報会社の資料では、まだまだ暑い日が続くらしいし、紫外線よけの関心は結構高い。秋のスポーツシーズンを控えて、後を引くぞ。いわゆる夏物とは少し様子が違うようだ。生産打ち切りは、もう少し様子をみよう」

「わかりました。そうします。それにしても部長は転んでもただでは起きませんね」大久保は口元をほころばせながら言った。


「え? 何のことだい?」

「聞きましたよ、女将から。ここのコンペで、すっかり市場調査までやっていたって」

「あっはは。ばれていたか。いや、あくまでも参考だがね。しかし、あれも俺の大事な情報ネットワークだよ」川田は、少しバツの悪そうな顔をして、グラスを持った。

「ところで…」と言って、川田は話し始めた。

川田の話によれば、副社長と新しい組織について相談しているときに、東京城南大学の教授で物流研究者として著名な高橋先生と会食の機会があって、そこに副社長も誘ったということだ。その場で松川副社長は、いまの会社の経営状況、新しい経営陣や組織について前置きしながら、今度のサプライチェーン改革の考え方について教授の意見を求めた。

教授は、考えている方向は正に適切な方向だと言い切ってから、そのポイントとして、次のようなことを挙げたという。

(1)顧客に対してどんな価値を提供できるかを考えること。
(2)調達から店頭までのスループットタイムを短縮すること。
(3)店頭の情報を含めて活動が見えるしくみをつくること。
(4)コストは、ロジスティクスのシステムを稼働させるエネルギーである。省エネルギーは必要だが、絞り過ぎればシステムが破綻する。
(5)環境に配慮したシステムを考えること。

そのうえで、こうした改革は何と言っても経営トップのリーダーシップが決め手であるからトップダウンが望ましいと話されたという。

そして、もう1つ注目すべき意見として、サプライチェーン・マネジメントは、本来、経営戦略のマターであるから、ロジスティクスの改革を進める一方、全体の監修は経営戦略部門に置いておくことが必要だと言われたというのだ。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

東京ロジスティクス研究所
重田 靖男氏

重田靖男 1941年生まれ。早稲田大学理工学部卒業。
資生堂で、物流開発プロジェクト室長、物流部長、マーケティング本部長を歴任。資生堂物流サービス株式会社社長を経て、株式会社東京ロジスティクス研究所を設立。
現在は顧問として、荷主・物流企業をコンサルティングしている。

【委員】
日本ロジスティクスシステム協会企画開発専門委員長
物流技術管理士資格認定委員および講師
日本物流学会会員

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