第17回:「副社長の戦術」

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第17回:「副社長の戦術」

2007年3月22日

いずれにしても、松川副社長と川田とで模索した結果だろう。もちろん、社長も急いでいたのかもしれないが、大久保は改めて松川副社長のやり口に舌をまいている。経営トップの改革への覚悟を全社内に示し、形を作ってしまえば、いやでも社員が動かざるを得ない。いや、すぐに動けということだ。

考えようによっては乱暴な話だが、これが松川副社長の戦術だと思った。長く海外事業担当で、それこそ下地のない真っ白なキャンバスに自ら絵を描いて事業展開しなければならないという修羅場をくぐってきただけに、やると決めればさすがに早い。


大久保は、自分がいきなり飛び込み台の踏み切り板の上に押し出されたように感じていた。これだけ周囲を固められれば、もう飛び込むより仕方がないではないか。

ただ、今回の関連する組織改編で、SCM推進室という組織が経営企画部の中に新設された意味だけは、大久保には理解できなかった。「サプライチェーン改革を目指して」のなかでも、そんなことは何処にも提起しなかったはずである。

このあたりの事情も、川田部長に聞いて見たかった。日焼け止めの最終生産の件と併せて、いよいよ本格的に動き出さなければならないプロジェクトの進め方についても川田部長に相談したい。大久保の腹の中では、進め方のイメージはでき上がってはいたが、久しぶりに川田部長と「笹もと」でゆっくり話をしたかった。

部内管理職の歓送迎会のときに連れて行かれただけで、「笹もと」にもしばらく行ってない。  

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

東京ロジスティクス研究所
重田 靖男氏

重田靖男 1941年生まれ。早稲田大学理工学部卒業。
資生堂で、物流開発プロジェクト室長、物流部長、マーケティング本部長を歴任。資生堂物流サービス株式会社社長を経て、株式会社東京ロジスティクス研究所を設立。
現在は顧問として、荷主・物流企業をコンサルティングしている。

【委員】
日本ロジスティクスシステム協会企画開発専門委員長
物流技術管理士資格認定委員および講師
日本物流学会会員

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