第16回:「新社長体制の稼働」

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第16回:「新社長体制の稼働」

2007年3月22日

結局、次の追加生産で今期は打ち切りという前提で、最終生産量をどのくらいにするかを物流で提案することにして一応の結論をみた。

このとき大久保は、これはこれから検討すべきプロジェクトの格好の事例になると考えた。商品開発段階での計画、初期生産、生産スケジュールのあり方、売り上げの予測とその後の変動、追加生産の判断、原材料の手配と追加の判断など、関連する計画、判断材料、検討経緯、品切れと在庫残などの全てのデータを記録として残しておくよう出席者に頼んだ。

その狙いは、メンバーもすぐに分かったらしく、全員賛同してくれた。問題は、営業の店頭情報がどのくらい正確につかめるかだろう。場合によっては、ランダムサンプリングによって在庫残調査を実施し、仕入れ実績から逆算することができるかもしれない。


大久保課長は、そんなことを考えながら、とりあえずは目の前のハエを追わなければと、川田部長に相談する資料の作成を業務課長の半田と相談することにした。

ところで、大久保が物流企画課長として課長昇進の辞令を貰った一連の人事異動では、併せて全社の組織変更も発表されていた。物流部門もその対象になっていた。

従来の物流部と生産部、購買部、さらに営業部の中にあった販売計画部を統合する『ロジスティクス本部』という組織が新設された。そして、経営企画部門のなかに「SCM推進室」という組織が新設されていた。その他にも全国の支店統合や本社営業部の中の企画部門、管理部門が大きくその姿を変える組織に変更された。いよいよ新社長体制による経営改革が具体的に走り出すという明確な意思が伝わってくる組織変更であった。

ロジスティクス本部に関連する組織変更は、大久保と川田部長でまとめた例の「サプライチェーン改革を目指して」という提案書のなかで、「あるべき姿」として提起している内容とほぼ近いものになっていた。

大久保たちの提起した姿では、ロジスティクス本部のなかの組織・機能を単に縦割り組織の集合体ではなく、もう少し横串をとおす機能で組織化するものであったが、さすがに中身をこれからプロジェクトで検討しようという段階では、そこまではできず、当面、器だけでも整備してしまおうということだったのだろう。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

東京ロジスティクス研究所
重田 靖男氏

重田靖男 1941年生まれ。早稲田大学理工学部卒業。
資生堂で、物流開発プロジェクト室長、物流部長、マーケティング本部長を歴任。資生堂物流サービス株式会社社長を経て、株式会社東京ロジスティクス研究所を設立。
現在は顧問として、荷主・物流企業をコンサルティングしている。

【委員】
日本ロジスティクスシステム協会企画開発専門委員長
物流技術管理士資格認定委員および講師
日本物流学会会員

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