第89回:「同じことを10回言えるか」

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第89回:「同じことを10回言えるか」

2007年5月31日

 物流業界における管理職の業務は重責である。人の命と商品を預かり、社会経済の基盤を支える物流業界。

 それとは裏腹に、現場運営が厳しいことは、みなさん周知の通りである。昔、ある金融関係のシンクタンクが「物流業界の組織力において、現場や末端社員に伝わるには、他の業界に比べて6倍のエネルギーが必要」と伝えていた。

 どんなデータを基に、どんな分析を行ったかは定かではないが、私は的を射た数字であると思う。


 基礎教育を受けるチャンスがなかったり、その教育が嫌で、この業界に入ったなど、十分な教育を受けたスタッフが少ないのが実情である。

 また、ドライバーは外に出て行くことで業務を遂行し、営業所やセンター、車庫など、本社から物理的に離れたところで業務が進められることも多い。これらの2点が現場浸透にエネルギーがかかる大きな原因である。

 そこで、管理職はどのような管理、指導を行っていかなければならないか。

 それは「同じことを10回言い続ける」という根気である。そして、方法とタイミングがポイントである。

 口頭で伝わらなければ、時には文書、張り紙、日報、ショートミーティング(対話)など、その状況に応じて方法を変えなければならない。

 また、重要なのはタイミングである。ついつい管理側は「まとめて」伝えようとしてしまうが、その苦労を惜しんではならない。

 朝礼、終礼、昼食時など1日数回に分けて伝達を行っている物流会社も多い。

 また、業務終了後の担当者に疲れや集中力不足などが見られる時は、何を言っても「馬の耳に念仏」状態になる。

 同じことを10回伝えるという根気だけではなく、その伝達方法を状況に応じて工夫し、タイミングも当方の都合ではなく、聞く側の状況を配慮する。ときにはマンツーマンでの「会話」ではなく「対話」も効果的である。根気こそ現場管理者の必要条件である。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

株式会社日本ロジファクトリー
青木 正一氏

青木正一 1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。

 主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。

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