第86回:決断、行動が求められる二代目

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第86回:決断、行動が求められる二代目

2007年5月10日

 先日、ある物流会社の二代目社長が、私のところに相談に訪ねてこられた。会社の今後の方向性や山積している課題、問題点など、何から手をつければいいかがわからないという。

 そう話しながらも最近、採算の合わない取引先から撤退するということにしたというか、荷量が少なく撤退せざるを得なかったようであった。

 この会社は2㌧、4㌧車を中心に引っ越しや家電の据え付けなどを行っている物流会社であった。繁忙期や閑散期の人員調整が困難であるとのことで、話を聞いてみると傭車は1台も依頼していないという。


 その点について、この二代目社長は傭車先を見つけなければならない必要性を知っていた。また、先代からのドライバーが大半で、少々のマナーの悪さには目をつむっているという。

 自分より勤務歴のあるベテランドライバー達に気後れしてしまい、口が出せない。これを頼りなく感じる読者もおられるかと思うが、こういうケースはよく目にする。

 しばらくして、事務の体制の話に移り、女性スタッフの役割分担と人員調整など、またパートの活用も行っていることがわかった。先代の時代には、自分の会社の中で現場中心の業務が大半であったため、特にこれといった帝王学を吸収したわけでもなかった。

 しかし、こうした気弱な部分があったり、先代の経営のしがらみと戦いながらも、この二代目社長は自社の課題、問題点、その解決策までしっかり理解しているのである。

 それではなぜ、私のところに相談にこられたのかと思うぐらいであった。しばらく話しているうちに、その理由が見えてきたように思えた。

 自分の考えに対して、「後から押してもらう人」が必要であったこと、先代に負けることなく自信を持って「決断」する勇気と、それに伴う「行動」がついてこなかったのである。

 わかっているのとやってみるのは大違い。行動しながら考えるつもりで思い切って一歩を踏み出せば、この二代目社長も立派な経営者になるのではないだろうか。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

株式会社日本ロジファクトリー
青木 正一氏

青木正一 1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。

 主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。

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