第85回:やっぱりつらいよ、権限委譲

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第85回:やっぱりつらいよ、権限委譲

2007年4月12日

 基本的に、会社は権限を組織に委譲しなければ成長、発展はあり得ない。すべての事柄を社長自らが決定していては、目が届く範囲は所詮しれている。では、権限を委譲すれば必ず会社は成長、発展するのか。

 当然、そうとは言い切れない。実力のない人材、人徳のない人材などに権限委譲すれば、組織は機能しなくなる。問題は任された側にもある場合も多い。今まで上司や社長が現業員の採用を決めていたが、ある日から配車担当者がその採用決定をしなければならなくなった。


 採用可否の判断基準がないため、躊躇しながら決めてしまう。また、購入予算枠をもらった営業所長が、現場からのおねだりで、ドライバー控え室にTVを購入する。こう言ったことはよくある話である。

 この2つの場合の共通点は、自分自身が任されたことによる単独行動になっていることである。自分自身に判断基準が養われていない間は、上司や社長に相談をする。それも単に相談するのではなく、自分の考えを持って相談する。

 そうすることで、会社としての価値観や判断基準が共有化される。与えられた権限を事前に訓練、予習することはできない。

 ひどい場合では、物流会社や傭車会社の業者決定権を持っているため、決定した業者から多額の接待を受けたり、リベートを着服するケースも残念ながら多いのが実情である。

 社長!「『任せる』というのは報告・連絡・相談を徹底しますと言う業務責任との『引き換え』である」ということを、任せる者に、何回も言い続けて下さい。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

株式会社日本ロジファクトリー
青木 正一氏

青木正一 1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。

 主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。

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