第80回:走らない物流会社

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第80回:走らない物流会社

2007年4月 1日

昨年前半からの人手不足。景気の上昇が拍車をかけている。名古屋、東京、大阪、九州地区の人手不足は特に著しい。物流業は労働集約型産業のため当然、この状況の痛手は大きい。

 しかし、この労働集約型を脱皮できなければ、この業界では利益が出ない。「運送業は、走れば走るほど儲からない」と言い続けて15年ぐらいになる。その意味合いは2つのことを伝えているつもりである。


 1つは長距離輸送は、原価構造としてドライバーの高い賃金と燃料代、高速料金を入れると採算が取れないことである。

 わずかな帰り荷を確保しても黒字は難しい。発荷と着荷に関係なく両面(行き帰り)の荷物をしっかり確保するか、増トン車、4トンパワーゲート、3トン、2トン、軽車両クラスに力を置き、点から線、線から面に配送密度を高くすることに尽きる。

 もう1つは車両を使う業務を「従」とし、「主」は車を使わない流通加工やセンター運営に力を入れ、1人当たりの生産性を上げて業務を短時間で終らせる、いわゆる「人繰り」による利益化を図ることである。

 人件費を変動費化し、できるだけ安価な人件費で高付加価値業務を生み出すことでもある。車両業務が主力となると、なかなか代わりの人手を見つけられないが、人工業務(人手ありき業務)になればパートやアルバイト、人材派遣のメンバーが代わりを担える。

 ただし、多能工化を図ることで1人のスタッフが、最低でも3つのポジションを担当できなければならない。さらに人材派遣会社の構成比率が高すぎてもコストアップにつながる。また派遣会社との契約も時給ではなく出来高給であれば一層、生産性は上がる。これを機に、走らない物流会社に転換されていってはどうですか。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

株式会社日本ロジファクトリー
青木 正一氏

青木正一 1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。

 主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。

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