第5回:荷主からの値下げ要請

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第5回:荷主からの値下げ要請

2006年4月13日

 A運輸は年商約70億円の物流企業である。主要荷主の一つに番組制作会社B社がある。B社からA運輸に対して「再見積を提出して欲しい」という要請が入った。
 再見積とはイコール値下げ要請である。半年前にも値下げを受け入れたにも関わらず、再度値下げを要請してきた裏には、大手物流企業のC運送からB社に対して売込みがあったことと関係している


物流コストを削減したいと考えていたB社としては、願ってもない売込みであり、これを機にA運輸との見積金額を下げるか、もしくはC運送に代えることを検討していたようである。A運輸から弊社への依頼は、「口座を守りつつ値下げを回避すること」であった。
 私達は、まず、A運輸とB社との関係を確認した。A運輸の担当者から聞いた内容は次の通りである。
 1.A運輸とB社とは30年来の付き合いである
 2.取引開始時、B社にとってA運輸は「数ある物流企業の一社」であった
 3.その後、A運輸のドライバーの対応力やA運輸としての取組姿勢などが評価され、徐々に扱い量を増やしてきた
 4.その結果、現在ではB社の物流は、ほぼA運輸一社だけで対応している
 また、B社内にA運輸の担当者の机も設置されており、この担当者はB社に常勤しているとのことであった。
 ここまでの話を聞き、A運輸とB社とは現場担当者レベルでは余計な説明が要らない関係(阿吽の呼吸が通じる関係)であることは認識できた。ということは、現場レベルではC運送に代えることは「N0」である。逆に言えば、B社の経営者に対して、如何にしてA運輸の業務内容を説明し、C運送を含む「他社では対応できないこと」を納得させるかがキーとなる。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

株式会社日本ロジファクトリー
青木 正一氏

青木正一 1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。

 主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。

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