第29回:人件費の削減

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第29回:人件費の削減

2006年6月 1日

 A社は年商約50億円の卸売業である。売上は最近の不況の影響をまともに受け、30か月連続で前年同月比を下回っていた。
にも関わらず、人件費、特に物流業務におけるパート人件費は増え続けていた。得意先からの要望が細かくなってきていることと、一回当たりの注文金額が減少してきていることが原因であると考えられた。


弊社へA社のO部長から連絡が入ったのは、ちょうどそのような時である。勿論、依頼内容は『人件費の削減』である。早速A社を訪問し、O部長から現状の問題点や今後の方向性についてヒアリングを行った。A社の特徴は次の通りである。

(1)3階建てのビルの1階と2階が倉庫として活用され、3階は営業部や総務部などの本社機能として活用。
(2)物流部は社員5名、パート約150名体制で運営。
(3)得意先は大手量販店と小売店が約50%ずつ。

 その後、実際の物流現場を視察した。O部長から事前に聞いてはいたが、パート人数の多さには驚かされた。しかし、パート1人1人の動きを細かくチェックしていくと、特に問題になるような行動は無く、きびきびと動いているように感じられた。私のような他社の人間が視察に来ているので、普段よりもまじめに勤務しているということを差し引いても問題になるようなところは無かった。
 次にパートが行っている作業の1つ1つをチェックしていった。そこで判明したことは、手書き作業の多さである。ピッキングを例に取ると、出荷指示書を受け取ってから梱包が終了するまでに、<1>使用するダンボールに宛先名・梱包番号を記入する<2>出荷指示書にピッカーの名前を記入する、という2つの手書き作業が発生していた。また、ダンボールはピッキング開始前に決定しているため、ピッキングの途中で複数のダンボールが必要になる場合には、新たなダンボールにも宛先名と梱包番号を記入しており、また反対に大きすぎた場合には小さいダンボールに入れ替え、そのダンボールにも宛先名と梱包番号を記入していた。
 ピッカーは出荷指示書を基にピッキングし、終了した後その出荷指示書は事務所に回され、出荷確定入力が行われた後ノ納品書と送り状が発行されることになっていた。このため、ピッキングが終了してから送り状と納品書を添付するまでに時間がかかってしまっていた。ダンボールに宛先名と梱包番号を記入する理由はこのためであった。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

株式会社日本ロジファクトリー
青木 正一氏

青木正一 1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。

 主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。

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