第26回:ベテラン配車担当者

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第26回:ベテラン配車担当者

2006年6月 1日

静岡県某所にあるK社の静岡センターを訪れた我々は、早速、配車担当者のM氏にお会いすることができた。
 M氏は物流企業でよくお会いする配車担当者とは雰囲気が異なっていた。物流企業でお会いする配車担当者は、ドライバーを統率する威厳を持った方が多いが、M氏は『ちょっと疲れた営業マン』という感じであった。自社のドライバーを管理することはなく、物流企業からの車の調達や台数の調整業務が中心のため、そのような威厳は必要ないのであろう。


 M氏は入社してから20年間、静岡センターに所属しており現場一筋であった。現場作業管理者を経て配車担当者になったそうだ。配車担当者歴は十年以上のベテランである。
 まず、我々がM氏に訪ねた経緯を説明し、M氏の配車手法をK社全社のコスト削減に役立てたいことを伝えた。
 するとM氏は、
 「私は他拠点と比較しても特別な取り組みは何もしていないと思いますよ」「しかし、別の拠点の配車担当者と連絡をとることはあっても、どのような業務をどのように進めているのかは全く知りませんので、特別かどうかもわからないのかもしれませんね」
 K社の配車業務が担当者個人に依存されていることを実感できる一言であった。
 まず、通常の業務内容をお話いただくことにした。話を進めていくうちに、M氏の特別な部分に触れることができた。業務の進め方などをお聞きすると他拠点と大差は無かったのだが、調達の部分では大きな差があった。
 通常、荷主企業が配送などの業務委託先を選定する際、コスト面で低いことが大前提となる。それに付け加えて自分達の業務内容や取扱商品を理解してくれ、融通の効く物流企業を選定している。そしてそれらの物流企業との付き合いは自然と長くなってしまうことが多いはずである。
 委託先の物流企業を頻繁に変更することは、配送品質の低下や構内でのフローを一から理解してもらわなければならなくなるため、配車担当者としても安心して業務を遂行することが出来なくなると考えることが多いからであろう。ところがM氏の取り組みはむしろその逆であっスのだ。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

株式会社日本ロジファクトリー
青木 正一氏

青木正一 1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。

 主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。

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