第24回:プロジェクトチーム発足

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第24回:プロジェクトチーム発足

2006年6月 1日

 そこで、まず行ったことは、今までのように大量に仕入れることで、実際にどれだけの損害が出ているかを数字で表した。その内容は、1商品別の廃棄金額2品質不良によるクレームの為に再出荷した際の運送費3品質不良のために得意先に対して発行した赤伝の金額、である。


 S所長のすばらしい点は、このような金額や数字をしっかりと、日々、管理していたことである。A社として残念な点は、S所長のこのような能力を上手に生かせていないことであった。
 S所長の協力を得て、上記内容の結果を一か月分まとめてK社長に報告した。どんなに言葉で伝えるよりも、数字で表現した方が効果的であることはK社長にも当てはまった。
 報告資料をしばらく見た後、「営業から意識を変えていかなければ生き残れないな」と言われ、弊社が考えている通りに改善を進めて欲しいこと、営業に対しても協力体制を取らせること、最終的な責任はK社長が負うこともその場で伝えられた。
 その後、A社内の全部署から1、2名ずつで選抜されたプロジェクトチームが発足され、全社テーマとして物流改善を行うようになった。途中、会議の内容が「如何にして商品を売るか」といった営業戦略的なものに脱線したこともあったが、ほぼ順調に改善は進められていった。
 改善を進めていけば行くほど、営業担当者が物流部に指示を出すことはなくなっていき、本来の業務に注力できるようになった。物流側としても、営業担当者に怒鳴られないよう時間を見つけては商品の勉強をするようになり、徐々にではあるが、営業から信頼を得るようになってきた。社内間がうまく機能し出すと、社外(お客様)に対しても良い影響が出るようで、落ち込んでいた売り上げも回復してきた。
 「物流を改善したい」「コストを削減したい」という声を良く聞くが、物流部門だけで改善できることはほとんどないのが実情。また、物流を改善するためには「物流が発生する前」を改善することが必要で、最大の物流改善とは「物流を発生させないこと」であると考える。そのためには、営業部をはじめ、他部署の協力や理解は必要不可欠。よって、物流改善とは『全社テーマ』となるのである。A社における改善は、弊社のこの考えが間違っていなかったことを再確認させるものであった。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

株式会社日本ロジファクトリー
青木 正一氏

青木正一 1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。

 主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。

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