第22回:忙しいから』はだめ

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第22回:忙しいから』はだめ

2006年5月26日

 S所長はA社に入って3年目であるが、A社に入社する前にも青果物卸のセンターに約10年勤務しており、業種・業態ともに精通していた。A社への転職もK社長から直々にオファーがかかり、その熱意に負けたというのが本当のところだという。


そんなS所長がいるにも関わらず、K社長が認識し、私が感じた問題点が改善されずにそのまま放置されているのは、「忙しいから」という理由以外にも問題があるように思われた。
 この思いをそのままS所長にぶつけてみたところ、少しずつではあるがA社の抱える(S所長が考える)問題点を話してくれた。その内容を要約すると次の通りである。
 1・A社内の力関係では営業が一番上になっているため(組織図上では並列になっている)、営業の言うことは絶対である
 2・商品の保管場所の決定や出荷指示も営業から指示され、物流センターとしては指示された商品を指示された場所に出荷するだけである
 3・保管場所は冷蔵庫になるため、スペース的にはかなり狭くなっているが、商品によっては大量に仕入れられるものもあり、品質を保つのが難しい状況にある
 1・2については多くの企業で見られる現象である。また、社長も口では「営業と物流は同じ」と言いながら、実際には営業であまり成績が上がらなかった社員を物流に回す、ということを行っている企業もある。ある意味「物流改善における永遠のテーマ」であると言える。
 しかしながら、上辺だけでなく本質から物流を改善していくためには、営業や仕入れなど他部署の協力が必要不可欠であることは言うまでも無い。反対に、物流だけで行える改善は全体の数パーセントしか無いと考えられる。
 そこで、営業部長(M部長)に今回の目的(物流の改善・コストの削減)を伝え、それについてどのように考えているか、また現状の営業部としての業務内容についてヒアリングした。M部長は年齢40歳前後で恰幅が良く、声が良く通り、いかにも「営業マン」という感じの方である。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

株式会社日本ロジファクトリー
青木 正一氏

青木正一 1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。

 主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。

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