第21回:やる気はあるが実行ができない

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第21回:やる気はあるが実行ができない

2006年5月25日

A社は年商約120億円で、生鮮野菜や果物を扱う卸売業。

K社長は一代でA社を築き上げた、いわゆる「やり手」の社長である。数年前までは、業績もかなりの右肩上がりであった。その当時、ある市場では、入荷されて来る野菜や果物はまずA社が選び、その後、残った商品を他の卸売業の方々が選んでいたという。A社はまさに飛ぶ鳥を落す勢いで成長してきた企業である。


そんなA社であっても景気の後退、特に、量販店の業績悪化は経営に大きな影響を及ぼしてきた。何故なら、同社は売上の80%以上を量販店に依存していたからである(残り20%弱は外食チェーン店)。
 売り上げが伸び悩んでくると、どの企業でも経費の削減に注力してくる。A社も例外ではなかった。弊社にK社長から連絡が入ったのは、ちょうどその様な時である。
 K社長が言うには、「今までも自社内で独自の改善は行ってきたが、なかなか思うようにコスト削減が進んでいない。このまま自社で改善を行うより、専門家の意見を取り入れ、コストを削減していきたい」とのことであった。K社長が把握されていたA社の物流に関する問題点は次の通りである。
 1・量販店、外食店ともに店着時間が午前5時〜八時に集中しているため、作業場がかなり混雑し、非効率になっている
 2・同時店着が前提となっている量販店が多く、車両の回転率が上がっていかない
 3・小分けのピッキングを人海戦術で行っているため、多くの人件費がかかってしまっている
 K社長からの依頼を受けた翌早朝、実際に現場調査を行った。K社長が言われているような問題点を確認することはできたが、その他にもいくつかの問題点が見つけられた。それらは、
 1・入出荷の際、商品の品質をチェックしていない
 2・商品を保管している冷蔵庫にはロケーションがない
 3・現場の責任者を含め、全従業員が作業員になってしまっている
であった。
 私が確認した問題点とK社長が認識している問題点の両方を現場の責任者であるS所長に「何故このようになっているのか」と質問したところ、「改善しなければという気持ちはあるのだが、つい日々の業務に追われてしまっている」との返答であった。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

株式会社日本ロジファクトリー
青木 正一氏

青木正一 1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。

 主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。

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