第206回:これを機に通知簿と向き合う

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第206回:これを機に通知簿と向き合う

2009年12月18日

 短期的な経営と中・長期的な経営の違いは何であろう。

 短期的な経営とは、1・月々の借入金返済に追われる、2・後継者が会社の跡を継ぐという決心ができていない、3・直荷ではなく傭車のもらい仕事が多い、などが挙げられる。

 一方、中・長期的な経営とは、1・年度を大きく空けることなく定期的に新卒を採用している、2・人材育成に力を入れている、3・倉庫建設や営業所開設などの計画を立ててその準備を行っている、などがこれにあたる。

 さらに重要なこととして、「経営指標の、どこを見ているのか」がある。経営の通知簿として決算書がある。その中身は大きく二つに分かれる。損益計算書(PL)と賃借対照表(BS)だ。

 前者のPL(profit & loss)はその年度(期)ごとの売り上げや原価、販売費、そして損益を見る。後者のBS(Balance sheet)は長年の経営の経緯として、今までの利益による現金や購入した車両などの資産と、借入金などの負債を表している。

 物流会社の経営者は、これらのチェックを税理士任せにしている場合が多い。そんな経営者はこれを機に、税理士にとことん読み方を教えてもらった方が良い。

 決算書は読めても前者のPL、すなわち「その年度の損益」をチェックしていては、中・長期的な経営にはつながらない。後者のBSを見て、現金がいくらあるのか、借入金はいくらあるのか、固定資産を減らして現金化した方が良いのではないか、総資産に対して資本金が少なすぎるため債務超過の恐れがあるのではないかなど、会社のいままでの「歴史」も注視することで、中・長期的な経営のシナリオが作れるのだ。

 数字に弱い経営者は生き残れない。月次損益や決算書をしっかり読んで、課題を見つけ出し、それを元に次の手を打てる経営者のみが生き残れるといっても過言ではない。


 

筆者紹介

株式会社日本ロジファクトリー
青木 正一氏

青木正一 1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。

 主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。

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