第20回:勝ち残れる物流企業に変身

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第20回:勝ち残れる物流企業に変身

2006年5月24日

唯一の不採算拠点であった神奈川センターにも、各拠点での改善事例などを参考に、ロケーション設定に着手するなど良い兆候が現れてきた。
 プロジェクトチームとしての活動は、ロケーションを設定する際に作業動線を短くするための方策として商品別に出荷頻度ABC分析を行い、それに基づいたロケーション案を提示した程度となった。その他はセンター長を中心とした現場社員達の手によって、各人の考え方をぶつけ合いながら自分達のセンターを構築していった。


結果、作業時間を大幅に短縮することができた。さらに、現場で作業を管理している社員によって、適正人員数を割り出しながら作業管理を実施することで人件費削減にも成功した。プロジェクト開始から九か月が過ぎ、神奈川センターは全社で唯一の不採算拠点から脱出することができた。
 プロジェクトチームは改善の道しるべをつけることができ、実務改善の中心はセンター長を中心とした現場社員となった。彼らには「自分達が改善したんだ」という強い意識と成功体験を持ってもらうことができた。
 改善開始から1年後に神奈川センターを訪れると、大きな声で挨拶が飛んで来て、パート・アルバイト含め全体の意識が向上していることを実感することができた。これならいつ誰が来ても恥ずかしくない物流センターであると強く感じることができた。
 そして、この現場意識の向上は荷主の信頼を得ることに繋がり、今後もG物流は売り上げを伸ばしていける企業になっていくであろうと確信できた。
 昨今では、荷主企業の物流業務を物流企業が請け負うケースが増加している。物流企業も荷主の要望に応えようと必死になって対応してきた結果、気がつけば規模が大きくなり拠点数も増大した。しかし、その場凌ぎで対応してきたためノウハウ、意識、管理までもが拠点ごと、部署ごとに分散してしまっている企業も多いのではないだろうか。
 荷主から物流業務を請け負うことは荷主の物流ノウハウを吸収するチャンスとも捉えることができる。これらを全社で共有化することで自社のオリジナルノウハウに成長させられることでき、今後もさらに厳しい競争を勝ち残っていける物流企業に成り得るのだと私は考える。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

株式会社日本ロジファクトリー
青木 正一氏

青木正一 1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。

 主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。

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