第192回:HD制は顧客にとって迷惑

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第192回:HD制は顧客にとって迷惑

2009年9月 4日

 HD。これは○○ホールディングスの略であり、最近、多くの企業が企業統制の視点から、このHD、いわゆる持ち株会社制を導入している。HDは物流業界でも多く見られるようになった。このHDの傘下に、従来の物流子会社やデータサービス別会社、構内作業会社、地域子会社などがぶら下がっているという構造である。

  しかし、これは荷主また顧客からすれば非常に迷惑な話である。なぜなら中堅企業であれば、担当者に別のサービスや他地域の対応などを依頼すると、今までは社内間で調整し、何らかの回答や対応を受けることができた。

 しかし、HD制になると「今は別会社になっておりまして...」というように管轄外として対応され、顧客側の手間と負担が増えてしまうケースがしばしば見受けられる。超大手ならまだしも、中堅から大手クラスの企業がHD制を取るということは「官僚型対応」、要するに「たらい回し」を促進させることになり、窓口の一本化とは反対の動きになってしまう。

 同時に、HD制の会社にとっては機能別、目的別に会社を整理するという体制を取ることによって「どの会社にも当てはまらないサービスや顧客」を取りこぼしてしまいかねないというリスクが生じる。野球で言う「ポテンヒット」の状態である。

 物流業者は、メーカーや物販のようにサービスの面で明確な線引きが出来ない。しかも、オーダーメイドで商品化する場合が多いことや、無形のサービスを提供していること、そして「どこにもあてはまらない」業務こそを、他社や他業界から受託することが大きな利益につながっている。そういう意味では、顧客不在のHD制ブームはいかがなものであろうか。


※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

株式会社日本ロジファクトリー
青木 正一氏

青木正一 1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。

 主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。

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