第189回:勇気ある「ダ・メ・モ・ト」

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第189回:勇気ある「ダ・メ・モ・ト」

2009年8月 7日

 ダメでもともと。何かやけっぱちな、また少しネガティブな印象を受ける言葉である。しかし、荷主企業と物流企業、仕事を出す側と請ける側、そんな力関係の中で「ダ・メ・モ・ト」は時に、前向きかつ勇気ある行動として映るのではないだろうか。

 現行の燃料価格高騰、その他資源の値上がり経済の中で、漁業や物流業界はそれを値段に転化できないでいる。食品メーカー、自動車メーカーや海運業などは値段に転化し、さらにまた次の値上げを検討している。

 一般的に6万社弱ある物流業界では、「『値上げ』など一言でも口にすれば、それで取引がなくなってしまう」という言い分があり、恐ろしくて話もできないと暗示にかかってしまっている。これは事実であろうか。我々のような荷主企業や物流会社を診ることの多い仕事をしていても、そんな話は一度も聞いた事がない。

 「物流コンペに負けて仕事がなくなった」とか「拠点の集約で物流会社が一本化された」などという話は日常茶飯事である。しかし、値上げの打診・要請レベルで取引がなくなったという例を私は知らない。

 燃料価格高騰前期の時には確かにそういうリスクが伴っていたと思われるが、今や値上がりは原油に限らず、穀物、鉄といった他の資源にまで及び、経済全体の問題となっている。値上げが成功するか否かは原価計算表の準備や人手不足要因を組み込むこと、そして荷主企業の業績が順調か少なくとも横バイであることなどが絶対条件であるが、まずは話をしてみないと始まらない。ダ・メ・モ・トである。

 もしかすると同業他社は既に申し入れを行っており、あなたの会社からの要請待ちで若干の値上げ了承を考えているかも知れない。よっぽどの大きなクレームや、荷主に大きな迷惑をかけたなどのトラブルがない限り、普通は話だけは聞いてくれるものである。ましてや、御社の貢献度が高ければなおさらである。


※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

株式会社日本ロジファクトリー
青木 正一氏

青木正一 1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。

 主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。

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