第188回:荷主との向き合い方

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第188回:荷主との向き合い方

2009年8月 3日

 物流会社の多くは、荷主とどのように向き合えばよいかを理解できていない。値下げやクレームのきつい一打を浴びることを恐れ、向き合うどころか、「ちゃんと入金さえしてくれていれば、少々、振り込み手数料ぐらい引かれていても御の字」という会社が多いのが実情である。

 我々のように、荷主サイドから物流会社を見ることが多い仕事をしていると、荷主はまた違った見方をしていることが分かる。荷主は「定期的に物流会社と会って、改善や問題点を解決したい」と考えている。その改善内容が荷主側におよんでも、「それはそれで提案をして欲しい」と考えている荷主企業が意外に多いのである。また、物流コンペの提案でも、このような「定例物流改善会議の開催」と提案する物流会社に対する評価が高いのが最近の傾向である。

 物流会社からは「呼び出しがかかると、必ず運賃値下げの問題だ」とよく耳にする。時々、いや年始のあいさつぐらいにしか荷主に出向かない会社にとって、たまたまの「呼び出し」が必然的に悪い話になってしまうことは仕方がないと言える。

 顧客と中途半端な距離をとると、物流業界に限らず、ビジネスは危機的な関係となっていく場合が多い。「スポット」のみとハナから割り切るか、「パートナー」として長く良き関係として接近戦を行うか。

 ここで注意しなければならないのが、これを「接待」と間違えないことである。荷主とのゴルフや飲食の接待は、後々、振り返って見ると大した効果をもたらさない。「都合の良い」会社として扱われているだけである。また、担当者が目的や提案もなく、アポなしで訪問することも、かえってマイナスの印象を植え付ける。

 したがって、1.目的を持って(大義名分を作って)、2.定期的に会うという形か荷主内に常駐する(机を一つ用意してもらう)という形が効果的である。きつい「一打」を恐れることなく、距離を縮めていくことで取引の今後の予測が出来ることも大きな利点である。


※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

株式会社日本ロジファクトリー
青木 正一氏

青木正一 1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。

 主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。

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