第186回:経営の両輪その3

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第186回:経営の両輪その3

2009年7月16日

 「攻めの経営」と「守りの経営」。これは相対的なテーマとして、よく持ち出されることが多い。広義での「攻め」と「守り」は3年、5年、10年と言った時間軸で展開が交互に入れ替わっていることが多い。しかし狭義の「攻め」と「守り」は、日々の経営、運営の中に多く見られる。

 一般的には、営業や開発などが「攻め」の組織にあたり、管理、人事、総務といった組織が「守り」にあたる。一方、投資を積極的に行うか手控えるかを表す場合もある。

 総じて「攻め」はリスクが伴う。うまく成功すればリターンがあるが、失敗すれば大きなダメージを受け、時には立ち直れない場合もある。では「守り」はどうであろう。

「うまく行く、行かない」ではなく、「可能な限りベストなものを追いかける」と言うイメージもあるが、「守り過ぎる」ということも往々にしてある。これは長期的には組織を蝕むことになり、結果は「攻め」の失敗と同様に立ち直れない場合がある。

 老舗企業の倒産、大手企業の傘下入りなどが物流業界にもよくある。「攻撃は最大の防御」という言葉とは反対に、物流業界にとっても、これだけ先行き不透明かつ変化のスピードが速い時代に、多くの中小企業は「守り」を最優先しているのではないだろうか。

 しかし、一点だけ注意しなければならないことがある。それは社員のメンタル面だ。時代や景気がどうであれ、社員の気持ちが「守り」に入ってはならない。会社経営としては「攻め」のタイミングを虎視たんたんと狙わなければ、次の成長を見つけ出すことはできない。しかし、社員の気持ちを「攻め」の状態にすることが今、経営者に求められている。対話、改善活動、表彰制度の導入、現場目標の設定などもその一つであるが、何と言っても経営者が「こんな会社にする」「こんな現場にしたい」と方向性を語ってくれることではないだろうか。


※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

株式会社日本ロジファクトリー
青木 正一氏

青木正一 1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。

 主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。

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