第18回:拠点間で大きな差

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第18回:拠点間で大きな差

2006年5月16日

 「本当にこれが毎年売上を伸ばしている企業の現場だろうか」という私の疑問は、神奈川センターの主要メンバーへのヒアリングを終えた時点でも解消されなかった。
 売上を約10年で8倍に上げ、プロジェクトチームを召集すれば各メンバーの改善意識は高い。それに比べて改善対象の神奈川センター内に全く覇気がない。事務所・現場の挨拶は、逆に「相手に不快な感じを与えるのではないか」と心配になってしまうほどである。


 ところが、他拠点との比較のために埼玉センターを視察した際に疑問点は解消された。埼玉センターは神奈川センターとは別の荷主ではあるが、同じように小売の店舗向けの入・出庫業務から店舗配送を請負っていた。そのセンターの事務所に入った瞬間から「別の会社か?」と思わせるほどの違いがあった。全員が外部からの人間に対して起立し、大きな挨拶をしていたのである。
 現場を視察しても同じような衝撃を受けた。センター内は整頓されており、作業員からは業務に対しての緊張感が伝わってくる。もちろん気持ちの良い挨拶は全員が徹底していた。
 埼玉センターの現場視察を終え、私は立花専務に質問をぶつけてみた。「同じ会社でありながら、どうしてここまで文化が違うセンターになってしまったのですか」。立花専務の答えは以下の通りだ。
 「私もびっくりです。荷主から業務を請負う際は、作業員などをそのまま転籍させるケースも多く、荷主が管理していたセンターの管理・運営方法やパート・アルバイト管理、連絡フォーマットなどをそのまま活用してきた。それぞれの荷主文化をそのまま継承する形で業務を請負ってきたために、文化に違いが出たのであろう」とのことであった。
 つまり、数多くの荷主を獲得することはできているが、ほとんどが荷主のノウハウをそのままに、業務請負という形だけをとってきているため、G物流のノウハウとして構築できていなかったのである。本社もノウハウを収集する取り組みをせず、各拠点の採算管理だけを行っていた。ほとんど現場の状況を把握していない状態だったのである。現場運営は任せきりだったために、拠点間の横の繋がりもなかった。結果、神奈川センターのような不採算センターが発生しなければ問題が浮き上がってこない体質だったのである。
 我々は『ノウハウは各拠点がそれぞれの形で構築しており共有化できていない』というのがG物流にとって大きな課題であると確信した。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

株式会社日本ロジファクトリー
青木 正一氏

青木正一 1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。

 主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。

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