第179回:荷主の言い分(4)

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第179回:荷主の言い分(4)

2009年5月28日

 「商品事故=物流会社の問題」となってしまっているケースが多い。車両事故ならともかく、商品事故まで「荷扱いが悪い」など、それなりに妥当とも言える理由付けで、物流会社に問題があると決めるつけられている場合が多い。ここから、物流会社への丸投げ構造の実態が見え隠れする。「管理」は自社、「運営」は外部という外注化の基本が守れていないことも少なくない。

 また、物流会社もこのような「決めつけ」に泣き寝入りしてはならない。「なぜ商品事故が起こったのか」と原因を追及し、問題が解決できれば悪者を作らなくても済む訳である。

 物流会社としてできることは、「商品事故報告書」の内容やフォーマットを見直し、担当者に詳細な記入を徹底させること。そして、それを集計して荷主と話し合いの場を設ける必要がある。

 あるガラス器械卸・販売の会社では、商品事故のあまりの多さに、物流会社だけに任せてはいられない、自社でも策を講じなければならないと「商品特性マスター」を作成し、出入り物流会社のドライバーに自社の商品の特性を理解してもらうようにした。またある精密機械・部品メーカーでは、梱包方法の見直しを行い、ムダな梱包部分を無梱包状態にし、「キケン個所」の強度をさらに高める梱包形式に変更した。これには段ボールメーカーも参加し、共同開発を行った。

 また、ハンドリング数が多い路線便の使用を諦め、近場の得意先に限って最低0.5トン分のロットがまとまるまで出荷せず、在庫を持ってもらうことで地場配送会社に切り替えたという例もある。得意先の多頻度少ロットのニーズを断り、輸送品質向上に傾注した例である。

 このように、物流会社側でも商品事故に対する具体的な情報を提示するくせ付けが必要である。そうすれば「荷主の言い分」も変わってくるのである。


※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

株式会社日本ロジファクトリー
青木 正一氏

青木正一 1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。

 主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。

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