第178回:荷主の言い分(3)

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第178回:荷主の言い分(3)

2009年5月21日

 荷主は至って、「細分化」すれば、より求める結果に導くことが出来ると思っている。例えば、「単品管理」や「個別損益」などがそれにあたる。これらの成功体験を持った人物が物流業務に配置されると、どのようなことが起こるか。

 彼は得意先別(支払い)物流費、製品別(支払い)物流費などの算出により、さらにコストの見える化を実施する。ここまでは会社に大きな利益をもたらすが、ABC(活動標準原価)となるとデータや数値の算出時間を最短化しなければ、それによって改善するコストよりも算出にかかるコストの方が上回ることもしばしば発生する。

 また、ABCにはモチベーション(動機付け)による生産性向上という視点は考慮されていない。従って、ABC導入の前に現場スタッフとの対話や表彰制度、育成カリキュラムの見直しなどやるべきことは多いと言える。

 また、「細分化」の成功体験者は、物流会社との料金設定と契約において、個々にこれらを進めようとする。具体的には保管における倉庫会社、輸配送における運送会社、構内作業、流通加工における請負会社それぞれに見積もりを提出してもらい料金を決め、契約することが最もコストを抑えられるという考えがある。

 これは間違いと言っている訳ではないが、往々にして最近の3PL業者の台頭に見られるように、トータルで業務を委託した方がコストは下がる場合が多い。なぜなら、多くの物流会社がトータル採算主義であるからである。

 荷主側は「分離発注」をとるか「一括発注」をとるかの選択肢である。そして、荷主は「同業者間レート」や「助け合いコスト」といった物流会社間の格安レートの存在を知らない。自社の対応力やインフラ力次第であるが、分離発注の一業務を担っている物流会社は、一括発注のメリットを投げかけてみてはいかがであろうか。


※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

株式会社日本ロジファクトリー
青木 正一氏

青木正一 1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。

 主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。

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