第174回:思い切って棚をつぶす

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第174回:思い切って棚をつぶす

2009年4月24日

 改善は時には思い切った行動、突破力が必要になる。今回は、保管棚やラックの功罪について触れていきたい。

 倉庫や在庫型センターでの棚・ラックの使用方法は、その現場の運営に大きな影響を与えていることは周知の事実である。棚・ラックは保管効率を上げるために不可欠なマテハンだが、過剰な導入・設置を行うと、今度は作業効率を下げてしまう代物でもある。

 棚・ラックを減らすことで作業効率を上げた例を見てみよう。最も多く用いられ、皆さんも経験があると思われるのが、倉庫出入口付近またはエレベーター付近の棚・ラックを撤去し、入・出庫スペース、フリーロケーション、仮置きスペース、仕分けスペースの確保を行うケース。安全性という点からも、リフトの振り回しスペースや通路の確保は大切である。

 先日訪れたある現場では、1フロアの面積が広く、棚設置が同様に長くなっていた。この現場では改善に改善を重ね、トータルピッキングからオーダーピッキングへ、また相互通行ロケーションから一方通行によるZ(ゼット)ピッキングへと改善を続け、改善前と比較すると生産性を1.6倍にまで引き上げていた。

 しかし、先述のロケーション、通路の長さが、戻り作業や仮ロケへの移動など本来発生させてはならないイレギュラー業務というムダを発生させていることがわかった。
 我々はこの課題を直視し、改善に着手。中間地点に新たに通路を設置した。

 一部では旧型のアンカーボルト打ち込み式の棚であったため、撤去は避けるべきとの反対意見もあったが、リフトは通れないが人は通れる1.8メートルの高さに設定し、2段分の棚板と柱の切断工事を行い、通路を確保した。

 結果、シミュレーション以上の効果があり、生産性が27.6%向上した。思い切ってマテハンを撤去することで得られるメリットが大きい場合もしばしばあるものである。


※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

株式会社日本ロジファクトリー
青木 正一氏

青木正一 1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。

 主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。

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