第173回:棚にネックレスを

連載トップへ

第173回:棚にネックレスを

2009年4月16日

 前回に続き、現場改善の具体的な手法をお伝えする。今回はピッキングミスの改善手法である。

 各現場で、それぞれの持つ背景や経緯などの違いから、まちまちの手法を導入し、創意工夫を行っている。一般的には「ロケーションの見直し」「棚番地の設定」「棚番地文字の拡大」などを行う。

 「ピッキングリストなどの伝票文字の拡大」「照度の見直し」などが次に来る。ハンディスキャナーでバーコードをなめることができるようなシステム化が進んだ現場では、このような苦労はさほど発生しない。しかし、多くの現場は費用面や荷主の理解、荷姿による制約などから、マンパワーによる環境改善が主となっている。

 これらの手法の中でも最も有効な手法として、ピッキングミスを発生させやすい商品の棚とその境界に、黄色の「ネックレス」を垂らす方法がある。「ネックレス」とは、いわゆる取り外しが容易なチェーンのことで、入り口手前から棚の奥行きまで等間隔で垂らすのである。

 現場によっては、これに近いことを行っているが、徹底していないところが多くある。例えば、黄色のチェーンの代わりに赤のダンボールをその境界に差し込んでいるケース。これでは、右か左どちらかの商品が大幅に減少した時、そのダンボールが倒れかかってしまい、反対に作業性を悪くしてしまう。

 また、黄色のチェーン一本を入り口手前部分にのみ垂らしている現場も多く見受けられるが、奥行きのある棚では、その奥側の商品が隣の商品と混ざることが多くある。

 色のついた目印をつけることで、「ピッキングミスが多い商品のため注意せよ」の意図も、中途半端なやり方や表面的な理解では、せっかくのアイデア、方法も効果を生み出さない。なぜこのやり方が望ましいのかという理解の深さと実施、現場展開の徹底度合いが明暗を分けてしまう。

 そういう意味では一度、導入した改善手法も検証と軌道修正、いわゆるPDCAが不可欠なのである。


※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

株式会社日本ロジファクトリー
青木 正一氏

青木正一 1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。

 主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。

関連書籍のご案内

GoogleAD