第170回:顧客管理業務の見える化

連載トップへ

第170回:顧客管理業務の見える化

2009年3月27日

 顧客管理というと、すぐに売り上げや利益、訪問回数などでくくってしまう場合が多いのが実情だが、これらの数値を向上させるためには、まず、「荷主は何を望んでいるのか」「今のサービスに満足しているのか、いないのか」を掌握しなければならない。

 当然、「荷主の要望は運賃の値下げ」と、多くの会社は答えてくるだろう。しかし、現在はそれには対応できない危機的状況であり、また、そのような「運賃の値下げ」という常套手段を使っていては、いつまで経っても付加価値をつけられない。結局、数多くある物流会社のうちの1社に過ぎない「業者」のままである。

 そこで、日ごろの輸配送業に対しての荷主アンケートの実施が効果的である。荷主には発荷主と着荷主とがある。発荷主にとって着荷主はお客様である。したがって、着荷主側へのアンケートを実施することが、どちらかというと望ましい。

 「あいさつはできていましたか」「商品の取り扱いは丁寧でしたか」「検品の立ち会いを行いましたか」などの質問項目に対して評価をもらう形を取り、「できている」「どちらかと言えばできている」「どちらかと言えばできていない」「できていない」というように、「普通」欄を設けないことがポイントである。アンケート実施の場合、多くの回答者は「普通」を乱用するのが常である。

 また、アンケートは管理者または営業が直接配布し、直接回収することが望ましいが、現実的には送付・直接回収か直接配布・送付回収となるだろう。輸送形態や納入エリア、今までのクレーム状況から、これらのいずれかを取るかを判断していただきたい。

 ここで重要なことが3点ある。

(1)アンケート用紙の配布、回収のいずれもドライバーを経由させないこと。なぜなら、自分の評価を恐れるがあまり、担当者に好評価採点をお願いしたり、配布・回収作業を忘れてしまったり、遅れてしまうことが多い。

(2)アンケート結果と、それぞれに対する改善策を必ず回答者にフィードバックすること。アンケートのやりっ放しは反対に不信感を抱かせる。

(3)アンケート結果をドライバーにフィードバックする。日ごろ、自社で口うるさく注意や指導をしている事柄でも、荷主という自分の給料の原資をもらっている第3者からあらためて評価・指摘されるとインパクトは多くなる。

 荷主から直接評価をもらうことは怖いことであるが、現実を直視しなければ道は開けないのである。


※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

株式会社日本ロジファクトリー
青木 正一氏

青木正一 1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。

 主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。

関連書籍のご案内

GoogleAD