第161回:物流業として今年やるべきこと(2)

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第161回:物流業として今年やるべきこと(2)

2009年1月23日

  今回は「営業」について、お伝えしていきたい。

 提案営業が展開されるようになって久しいが、この提案営業については大手と中小との実力差は歴然としている。大手はますます提案力を養い、中小は旧態依然とした営業に踏み止まり、その格差は広がる一方である。

 しかし、本来、提案営業というものは属人的要素も多く、組織が大きいからといって必ずしも提案力が高いとは言い切れない。

 企業規模に比例して提案力に差がつくのは「提案書営業」、要するに提案すべき内容、提案したい内容を「提案書」というかたちにまとめ上げるというところである。

 もう1つ言えるのは、提案回数が多くなってくれば、必然的に提案の質も向上してくる。

 しかし、ここで振り返って見なければならないことは、提案営業の本質である。荷主の気付かなかった方法やシクミ、物流のプロとしてのノウハウが荷主の求めるニーズ、または方向性に合致すること。そして、それを的確に伝えることである。

 特に後半の「的確に伝えること」が大切であり、多くの物流企業が、まだ発展途上にあるようだ。また、この点だけをクローズアップすると、中小物流業にも実施可能な方法はある。効果のある方法として、自社の「現場視察」へ案内することである。

 「現場はショールームである」を前提に、もっとシンプルに真実を伝えることができるし、実際の運営現場を観てもらうため、受託後にトラブルが発生する確率は低くなる。何と言っても、営業担当者の余計な手間が省かれるし、提案の荷主への回答スピードが速くなる。

 ここで言えることは、「営業」と「現場力」は密接に連動しているということである。書類としての「提案書営業力」が高まれば、荷主の期待度も必然的に高まるが、現実の現場運営と提案書の内容の格差に荷主が落胆することがしばしば起こっている。そこで、「5Sの徹底」、「あいさつ」といった現場の基本動作を徹底させることで、最大の営業ツールが作られる。

 強い現場力が最大の営業である。また現場も「観られる」ことが習慣化すると「もっと良くしなければ」という意識が働き出し、基本動作の徹底がさらに強まる。理想の営業は「口コミ」であり、営業部署、担当者不在でも案件が入ってくることである。

 こういうことからも、「営業力とは現場力である」といっても言い過ぎではないであろう。


※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

株式会社日本ロジファクトリー
青木 正一氏

青木正一 1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。

 主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。

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