第160回:物流業として今年やるべきこと(1)

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第160回:物流業として今年やるべきこと(1)

2009年1月 9日

 2008年、物流業として何をやるべきか。抽象的な言い方であるが、原油価格高騰、人手不足、高速料距離制移行の検討など、物流業の経営環境は一段と厳しくなっていくのは周知のことである。その中で生き残っていくために、何から、または、どの部分からメスをいれていく必要があるのか。今回は「ヒト」に焦点を当てる。

 各社とも頭を痛めているのが、ドライバーやパートを中心とした全般的な人手(量)、人材(質)不足であろう。ドライバーの採用については、今までのように20歳代後半から40歳前半という年齢層には期待できない。一部の路線会社も実施しているように、上限年齢を引き上げ、シルバーといかないまでも高齢者を部分的に投入せざるを得ない。

 「リフト作業は大丈夫か」「店舗配送は可能か」という懸念も残るが、実際はその人物次第である。受け入れ側も、従来の若手層に対して行っていた業務幅を期待せず、「できる仕事」「できない仕事」の分業を行うことが必要となる。

 また、「傭車比率を上げる」というのも選択肢の1つである。そのほか、大型ドライバーでも2トン車など中型車を運転するよう、運用ルールの見直しと多能工ドライバーの育成が必須と思われる。

 パートに関しては、まず「集める」ことも重要だが、「辞めない」現場づくりが重要であろうと私は感じている。先述のように、1つの業務を「技術」と「作業」に分け、「作業」に特化することで一般的な能力のパートの負担を軽減させること。

 また、コミュニケーションとしての年2回の個人面談、頑張った人が報われる評価制度、やりがい、達成感を導き出す表彰制度も、一般社員と同様に導入すべきである。「紹介キャンペーン」と銘打って、知人の紹介を募るという募集もぜひ実施していただきたい。

 全社としてはパソコンの増設、支払い先の請求書締め切りの徹底、問い合わせ業務の集約化、転送電話の活用などにより、間接人員を可能な限り持たないようにすることである。役員を除く総人件費に占める間接人件費比率は10%台に止めることが重要である。

 次に、核となる人材であるセンター長や所長クラスの採用は、いったん採用基準を下げ、入社後の教育を充実させるという方法が今の状況下では望ましい。全国的に荷主・物流企業とも、センター長・所長は枯渇している。

 それにもかかわらず、企業側の採用スタンスは「妥協しない」ということで変わっていない。これは明らかにミスマッチであり、発想を転換しなければ、この人手不足に生き残れないことを示している。


※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

株式会社日本ロジファクトリー
青木 正一氏

青木正一 1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。

 主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。

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