第16回:社員一人ひとりに自信

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第16回:社員一人ひとりに自信

2006年5月14日

この結果から、B社における改善は成功するものと確信した。実際、改善に着手してから2か月後に訪問した時には、作業員やドライバーから元気な声で挨拶され、また、レイアウトラインがはっきりと引かれており、そのラインの中から荷物や台車がはみ出すことはなかった。車輌をチェックするとほとんどの車輌がきれいに清掃され、車内もきれいな状態を保っていた。明らかに最初に訪問した時とは違う現場になっており、従業員一人ひとりの顔にも自信がみなぎっていた。


 この話を所長にすると、うれしそうな顔をして次のように言った。「御社から改善項目を提示された時には、正直、そんなもんとっくにできているよと思った。が、とりあえず確認の意味で現場をチェックしてみると、できていると思っていたことが全くできていないことが判明し、愕然とした。御社から指摘された通りで、管理職のメンバーも同じ意見だった。当たり前のことが当たり前にできない現場にしてしまったのは自分達である。これからは、極力、現場に降りて自分達の目で確かめ、耳で確認することを徹底しようと話し合い、実行してきたつもりだ。その結果が多少でも出ていると言われ、うれしく思う。また、不思議なもので、現場で活気が出てくると配達先でも元気の良い応対ができるようになったようで、配達先から新規に集荷依頼が三件も入った」とのことである。
 B社にはこのC営業所の他に3つの営業所がある。このC営業所をモデル店所として残りの3営業所も改善に着手し始めた。
 C営業所がなぜ最初の改善対象となったか。それはB社の中で最低評価の営業所だったからである。そのC営業所で改善がうまく進んでいることが他の営業所のメンバーにも良い影響を与えており、「自分達にもできるはずである」という気持ちを持ち、改善に取り組んでいるとのことであった。
 C営業所で欠けていたことは、所長含む管理者が実際に現場に降りることなく報告だけを受け、それらを「全て正しい」としていたことである。その結果、誰も実際に正しいかどうかの確認をしなくなっており、それ故、作業員やドライバーは自分達ノ都合の悪い報告をしなくなっていたのである。
 読者の皆さんの会社でも同じようなことが起きていないか、今一度確認して欲しい。もし起きているとしたら、それは「再建が必要になる第一歩」であると考えられるからだ。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

株式会社日本ロジファクトリー
青木 正一氏

青木正一 1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。

 主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。

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