第155回:倉庫業はなぜ儲かるのか

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第155回:倉庫業はなぜ儲かるのか

2008年12月 5日

 業界雑誌や新聞には毎年、上場企業を中心とした物流会社の決算が掲載される。興味深い数値がある。それは、物流業種別の営業利益や経常利益に大きな開きがあることである。

 陸運業の場合は1%の利益を出すことに必死だが、倉庫業は5-7%、利益率上位の会社では2ケタの利益率を出しているところも少なくない。

 では、なぜ陸運業より倉庫業の方が儲かるのか。それは(1)土地(ケースバイケース)、建物、設備といった大きな投資を行っていること(2)倉庫の「立地」を確定させるという、ほかにはない物流インフラを形として表現していること(3)商品・荷物に対する時間的占有率が高いということである。


 (3)は、要するに「自社で荷主の荷物を扱っている時間が長い」ということである。陸運業の場合、国内であれば運ぶだけなら、長くても2-3日の時間しか荷主の荷物を扱っていない。重要なことは「荷主の荷物を扱っている時間が長い」と、その間に通関、リパック、ラベル貼りなど付加価値のある業務を行えるということだ。「倉庫業=儲かる」ということではない。

 倉庫業でも、単に保管しているだけ、具体的にはデッドストックや備蓄品と言った入・出の少ないモノを預かっていては決して儲からない。「荷主の荷物を扱っている時間をできるだけ長くする」という視点で提案、受託できれば、儲かる可能性が高くなるということである。

 調達物流やSCMしかり、センター運営しかりである。もうひと工夫すれば、どの物流会社でも実現率の高い業務として荷主内物流業務、要するに荷主の会社内での入庫、保管、出荷など庫内作業全般を請け負うことで、荷主の商品・荷物に対する時間的占有率が高くなり、その間、付加価値をつけることができる。

 一度、ビジネスモデルのあり方を見直すことをおすすめしたい。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

株式会社日本ロジファクトリー
青木 正一氏

青木正一 1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。

 主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。

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