第154回:アウトソーシングはコストダウンの手法か

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第154回:アウトソーシングはコストダウンの手法か

2008年11月28日

 物流業務のアウトソーシングニーズは依然として根強いものがある。荷主にとってアウトソーシングの目的や狙いはさまざま。本業特化、組織のスリム化、高付加価値サービスの提供、人手不足対策、そしてコストダウンなどが挙げられる。

 一方、これらの荷主の目的や狙いとは反対に、アウトソーシングの相談や依頼を受けた3PL企業や物流会社は、その目的を「コストダウン」と思い込んでしまっているケースを多く見かける。私がかかわったアウトソーシング案件で、「コストダウン」を主たる目的とした荷主は約50%もが、この割合は年々低下しているようにも思う。

 「多品種小ロットの出荷に対応できなくなった」「誤出荷が多すぎて自社では限界がある」「今の自社倉庫ではキャパがいっぱい」、さらに「ユーザーから当日出荷、翌日出荷の要求が強くなってきており、それに対応できない」「直送指示が増えてきた」など、荷主のユーザーが物流に対して高度あるいは多岐にわたる選択肢を求めている場合も非常に多い。

 これに対して素人集団とも言える自社物流、自前運営では必然と限界が現れ、「プロ」としての物流会社に相談や依頼が来るのである。
 


 このような幅広いニーズによる依頼にもかかわらず、3PL企業や物流会社はなぜ、「コストダウンをするためには、どのようなインフラと運営をすればよいか、見積書を出せばよいか」という点に躍起になってしまうのであろうか。

 その理由として、営業担当者となる情報収集者が十分なヒアリングと質問によるニーズの確認に成功していないことが挙げられる。

 また、そのニーズには大きく2つの段階がある。1つは「こんなことを考えている。やりたいと思っている」というニーズまがいのモノ。

 次の段階として「あなたの話を聞いているうちに考えがまとまってきた」となり、続いて「まず第一優先は翌日納品の体制。コストダウンはこれらを安定、軌道化させてから」という、本質的にやらなければならない目的・狙いに優先順位がつく。

 3PL企業や物流会社は本来、この段階のニーズに対して真剣かつ早急に対応しなければならない。

 残念ながら多くの3PL企業、物流会社が前者の「ニーズまがい」に反応し、社内の打ち合わせや提案書の作成に多くの時間を費やし、何度も荷主を訪問しながら結局、仕事を獲得できないでいる。

 「ニーズまがい」レベルの初期情報に自社の担当者が的を射た、仮説ある質疑応答や他社事例などの知識などを提供し、フィルターを通し、濾過する。そこに真のニーズが顔を出してくるのである。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

株式会社日本ロジファクトリー
青木 正一氏

青木正一 1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。

 主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。

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