第152回:荷主と物流会社

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第152回:荷主と物流会社

2008年11月14日

 荷主と物流会社は、言うまでもなく「仕事を出す側」と「それを受ける側」という関係にある。しかし、その取引関係は必ずしも、うまく行っているとは限らない。

 いや、うまく行っていない方がむしろ多い。その理由は、主に料金の妥当性やサービスの満足度、要望に対する対応などがうまく行っていない点が挙げられる。

 これに起因するものに両者の温度差がある。具体的には、物流に対する知識の差、基礎学力の差、商売・ビジネスにおける常識度の差。どこまでのことを行い、納得してもらえることによって、お金を支払ってもらうことができるのかなど、様々な点で温度差が生じている。

 また、体質や構造的な問題もある。物流業は受注産業であるがゆえに、提案型企業と受身型企業の二極化が進んでいるということや、無形のサービスを提供しているがゆえの価格設定の難しさがある。
 


 しかし、これらは断片的な問題と言える。やって当たり前、ミスがあれば即クレームとなる物流の業務は、よほどの事がない限りお客様から褒められたり喜ばれたりするシーンを目の当たりにすることはない。

 従って、ミスやトラブルが発生すればクレームになり、怒られる「負け犬」根性が染み付いてしまっていることに大きな問題がある。いわゆる「クレーム産業」の負の部分である。

 だからこそ、強い会社、元気な現場には、クレームを受けない「良い仕事をする」ということを大前提にしなければ、会社は成り立たない。

 荷主から褒められたり、納品先の喜びの声を直接聞くことはできないかもしれないが、営業担当者がそれを代弁したり、現場管理者がスタッフの長所を見つけ、しっかり現場スタッフと向き合っていくことで、「成功体験」を積み上げていく必要がある。

 地道にコツコツと継続していかなければならない作業だが、この「成功体験」が荷主との温度差を埋めていく大きな布石となる。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

株式会社日本ロジファクトリー
青木 正一氏

青木正一 1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。

 主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。

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