第144回:猛暑と物流現場

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第144回:猛暑と物流現場

2008年9月19日

 皆さんも周知の通り、今年は歴史的な猛暑であった。この異常気象は世界レベルで起こっているという。猛暑となれば当然、物流現場の作業も過酷なものになってくる。しかし、猛暑でなくとも夏の物流現場は過酷なものである。

 そのため、この過酷な現場に耐えることのできないドライバーや倉庫スタッフは、決まったようにお盆前の繁忙期の後に辞めていく傾向がある。

 この時期にしっかりフォローを行うというのもひとつの手であるが、これらに耐えることができない現場スタッフは、次の真冬か来年の夏に再び「辞めたい病」が発生する。そもそも「その現場には向いていない」ということになるだろう。

 今までは、このような考え方で「仕方がない」と割り切っていた現場でも、この人手不足の時代、その考え方を大きく切り替えなければならないようだ。働く人たちの環境整備という点で、「空調」の問題は各社が真剣に議論するようになった。

 せっかく確保した人材なのに、暑さ・寒さを理由に辞められたのではたまったものではない。パート・アルバイトが働く倉庫やセンターでは、「空調完備」という現場が増えた。


 私がドライバーだった頃は「ブロック内で売り上げ3位までに入れば、トラックにクーラーを付けてやる」と言われ、頑張ったものだが、今どき、そんなことをやっていてはドライバーは続かないし、集まらない。

 ある輸出貿易会社の現場ではコンテナのバンニングを行っており、特殊なノウハウが必要であったため、物流業者に任せず自社で対応している。

 この会社には専用ヤードが2本設けられており、20代半ばのスタッフが腕まくりをして業務を行っている。

 責任者から話を聞くと「月間120本のバンニングが目標」という。休憩時間も昼の1時間以外に3時30分─同45分の休憩を設けているが、退職者が後を絶たないという。なぜ辞めていくのか。

 その具体的な理由を聞くと、「毎年、夏の暑さに耐えられず辞めていくスタッフが多い」という。そのことから、私は「せめてエアダクトを設置すべきである」と勧めた。

 後日、その管理者から「現場のメンバーと話し合ってエアダクトの設置は作業の邪魔になるとのことで、クールベストを購入することになりました」と報告を受けた。また、「会社が我々のことを考えてくれていると現場は喜んでいました」とのことであった。

 「暑さ対策」は「定着率対策」ともいえる、これからの物流現場なのだ。皆様の会社ではどんな対策を考えておられますか。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

株式会社日本ロジファクトリー
青木 正一氏

青木正一 1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。

 主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。

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