第141回:3PL時代に生きる

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第141回:3PL時代に生きる

2008年8月29日

  「サードパーティロジスティクス(3PL)」の概念が日本に入って、そろそろ12年になる。いまや、中堅荷主以上の物流コンペでは通称「3PL企業」が名を連ね、物流業務の一括受託を狙って提案合戦が繰り広げられる。

 いまだに、「3PL企業とはこういうものだ」という企業が出ていない。しかし、定着はしていないが、物流子会社をはじめ、路線会社や大手物流企業は必ずと言って良いほど営業方針に「3PL事業の強化」が組み込まれている。

 このような背景からはっきりと言えることは、通称「3PL企業」と一般物流会社の二極化が明確になってきたということである。

 実態はどうであれ、「3PL」を掲げる物流会社は荷主から声を掛けられ、コンペに勝つと荷主との直接取引が成立する。しかし、一般の物流会社は運営力や物流品質が高いにもかかわらず、3PL企業の下請けとなってしまうケースが多い。
 


 最近、ある化学メーカーの物流会社体制が見直された。従来は幹事会社と呼ばれる主力物流会社が四社存在しており、実運送と入・出庫、保管を運営していたのだが、この7月から3PL企業が元請けとなり、従来の主要幹事会社4社以下数十社はすべて、この3PL企業の下請けとなってしまった。

 それらを知らされていなかった従来からの物流会社は、いつ集約され、いつ仕事がなくなるか、いつ値下げ要請がくるか、と戦々恐々となっている。

 このように、日々の業務内容に甘んじ、荷主から改善指示が出ても言い訳をしてその場をしのぎ、再三の指示が出たあとで動けばよいなどと腹をくくっている会社は、現場改善に「挑もう」としている会社に直荷主を奪われてしまう。

 営業マンや営業部の存在は絶対条件ではない。提案力や改善力が荷主のハートをつかんでいることは確かであるから、そのことを実践するのは所長であってもシステム担当者であっても構わないのである。

 しかし、提案力と改善力はすぐには養えない力であり、場数と経験が物を言う。結局、いち早くその一歩を踏み出した物流会社が有利になってくる。この点で満を持してしまっている会社が多いのではないだろうか。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

株式会社日本ロジファクトリー
青木 正一氏

青木正一 1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。

 主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。

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