第129回:仕事が獲れない?

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第129回:仕事が獲れない?

2008年6月 6日

 「仕事が獲れない」と嘆く物流会社の社長の声をよく聞くようになった。話を聞いてみると、営業面では景気拡大の流れを受けて既存荷主の業務拡大や業務量の増加、さらには新規案件も決して受注できていないわけではない。

 理由は現場の運営面にあった。「キーマンだった管理職が退職した、新しいヒトを募集しても集まらない、ドライバーが集まらない」と人手・人材不足が原因で、せっかくの新しい仕事を受けられないどころか、既存の業務を維持することもままならないという物流会社が増えている。

 そもそも、不景気の中で人材が定着し、少々の不満があっても精を出して頑張っていたのは現場の仮の姿であって、その現場の本質ではなかったのかもしれない。

 他社と比べて安い給料、土曜日はまだしも日曜日に出勤することもしばしば。夏と冬は空調の効かない過酷な現場での仕事、不安を漏らすパートからの突き上げ、その状況の中で中間管理職はグッと歯を食いしばり、耐えていた。


 そんな中、徐々に好景気となり、物流業界では人材が売り手市場になった。当然ながら、今の現場より好条件を提示している他社の募集チラシに目が向くであろう。

 しかし、誰もが「新しい職場でうまくやっていけるのだろうか」と考える。加えて、転職を考えている人たちが、その思いにブレーキをかける要素がある。

 それは「この会社が好きだ」「うちの社長についていきたい」「今の仕事にやりがいを感じている」「中途半端になっている、あの業務は成し遂げたい」「いろいろ不満もあるが、上司が自分のことを気にかけてくれている」というようなことである。

 転職予備軍の思いを踏み止めさせるだけの魅力が、みなさんの現場にはあるでしょうか。「こんな現場にしたい」というビジョンを持った所長さんはいますか? 

 これらのことも含めて、労働環境の整備(ハード、ソフト共に)を押し進めていかなければ良い人材は集まらないし、定着しない時代であるのは間違いないだろう。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

株式会社日本ロジファクトリー
青木 正一氏

青木正一 1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。

 主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。

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