第113回:過去データを分析しても答えは出ない

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第113回:過去データを分析しても答えは出ない

2008年2月15日

 いよいよ年度末を迎え、来年度予算やその準備に入る会社も多くなってきた。

 新年度の売上高予算の作成や改善を行う際、その担当者は過去の事柄から将来の方向性や答えを出そうとする。要するに、過去の実績や数値データを頼りに、現在に必要な答えや将来を見いだそうとする。

 しかし、過去のデータの集計や分析からは、答えが出ない場合も多い。

 大半の物流会社の予算策定は、昨年分にプラス数パーセントを上乗せしたもので作成する。これには課題はあるが、大きな問題はない。

 また、車両事故や商品事故の原因を調べる際も、過去のデータを活用する。これもおおむね問題はない。しかし、例えば3PL売上高の目標や予算策定、新規開拓荷主の売り上げ目標・予算、営業所の開設による人員計画といった「新しく」何かを始めるテーマについては、当然、過去のデータは使えないことが大半。

 同様に、こちらから何かを打って出るという「戦略」的なテーマにも過去のデータは使えない。
 


 確かに、来年も今年同様に同じことを繰り返す、あるいは継続される「受動的」なテーマに、過去のデータが生きてくる。

 しかし、「売れ方が変わる。先手を打って営業所やセンターを新設しよう」といった「能動的」なテーマには、過去のデータではなく、「仮説」によるシミュレーションが生きてくる。

 市場ニーズの著しい変化による商品ラインやメニューの改廃は、在庫管理の内容変更に連動する。また、スクラップ&ビルドの激しいスーパーやコンビニ店舗の増減は、配送ルートの見直しにつながる。

 物流業界も「過去」を生かすことができるテーマと、今後の動向や予測などから「仮説」を立て、それをシミュレーションして「戦略」を打ち出すテーマ。この2つを線引きすることが、経営に求められてきているのは確かであろう。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

株式会社日本ロジファクトリー
青木 正一氏

青木正一 1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。

 主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。

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