第10回:物流サービスの質に違い

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第10回:物流サービスの質に違い

2006年4月26日

建築資材卸企業B社への依存型物流企業であったR物流。B社の要望で通常納品だけでなく、空調などといった電化製品の取り付け作業請負サービスも行うことになった。職人気質なドライバー達へのY社長の熱血指導を経て、サービス開始となった。


 B社とR物流の取り組みは順調であった。納品先は建築現場という特殊な場所になるが、R物流にとっては長年業務を行ってきた場所であり、慣れたものである。私も、特積み専門の物流企業でのドライバー経験があるが、建築現場への納品も稀にあった。建築現場への納品は慣れないドライバーにとって、「どこに荷物を降ろしたら良いか分からない」「誰に確認をとったら良いのか分からない」という事態に陥りやすく、下手すれば何倍もの時間を要する納品作業になってしまう。その点、R物流のドライバーは建築現場専門で無数の現場に納品してきており、納品を早々に終え、取り付け作業が発生する際も無難にこなしていた。B社からも、「まさかこんなに順調にサービス展開が進むとは思わなかった」という褒め言葉までもらっていた。
 Y社長は考えた。「この調子であれば、さらにサービスを強化し、B社以外への外販も可能なのではないか」と。早速、家電量販店やGMSなどに「納品+取り付けを行える物流企業」を売りに、積極的に営業活動を行った。さらにサービスを強化するため、電気工事やガス設備工事取扱いへも着手した。
 結果、積極的な営業活動の甲斐もあって、地元GMS「D社」の空調や家電製品の納品、取り付け、配線などの請負業務を受注した。
 現状のB社業務で、すでに車輌、ドライバーともにフル稼働だっただけに、車輌の新規購入やドライバーの採用などの準備に手間取ったが、作業面でのノウハウには自信が持てるところまで体制を整えることができた。
 ところが、「D社」の納品業務を開始して早々、問題が発生した。対企業の建築資材卸B社と、対消費者「D社」のサービスの違いについての認識が甘かったことで、多数のクレームを発生させてしまうことになるのであった。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

株式会社日本ロジファクトリー
青木 正一氏

青木正一 1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。

 主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。

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