第99回:九州における流通の再編

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第99回:九州における流通の再編

2006年10月 1日

 平成不況の荒波の中、九州の流通業界は大きなターニングポイントを迎えている。この数年の間に九州最大の小売業の寿屋や九州の老舗百貨店、岩田屋の自主再建断念、さらには熊本を地盤とする中堅スーパー、ニコニコ堂の経営破綻などが相次いでいる。

 関東、関西の大手流通業にとっては、九州は地理的に遠く、首都圏、阪神圏からの輸送アクセスもよくなかった。それゆえ、関東、関西の大手流通業にとって九州進出は魅力的とはいえず、九州での事業展開も優先順位の高いものではなかったのである。


 そのため、九州の流通業界は、各県で地場企業が競合し、その中で経営地盤を固めた企業が県外に進出し、九州全域での事業展開を目指すという図式が見られた。岩田屋や寿屋が九州の有力企業に成長したのはそうした背景があったからである。

 しかし、本州から九州への物流アクセスが改善され、また九州が東アジアの軸となる物流拠点として注目されるようになると状況は一変した。九州自動車網の整備などで全九州をにらんだ物流戦略も可能になった。そしてその結果、経営不振、経営破綻に陥った九州の地場企業に対して本州の有力企業が資本参加を行い、傘下に組み入れる動きが加速してきた。

 例えば、岩田屋には伊勢丹グループが、寿屋にはイオングループが、ニコニコ堂にはイズミが支援に乗り出し、経営再建を進めている。九州の有力ドラッグストアであるドラッグイレブンはイオングループ入りしている。すなわち、中央資本が地元有力企業の破綻に乗じて勢力拡大を図り始めたわけである。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

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