第97回:家電メーカーの流通体系

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第97回:家電メーカーの流通体系

2006年9月17日

 家電業界は流通系列化の典型のように言われることが多い。家電製品は、独立した卸が多くのメーカーの製品を扱っていたが、1950年代以降、家電メーカーの販社が盛んに創設され、1960年代後半になると、全国をくまなくカバーする流通ネットワークが構築された。家電製品の流通は販社を通して行われてきたわけである。販社はメーカーが設立したものばかりではなく、独立した卸売業や、卸売業の特定メーカーの担当部門から転じたものも多い。


 家電の販社の主たる役割は、小売店との物流や代金決済である。メーカーにとって販社制度を活用することの最大のメリットは、小売価格をチェックし、安売りの抑制を容易にできるということにある。販社を中軸において、系列下に置いた小売店で自社製品を販売するというビジネスモデルが実践されてきたわけである。ただし、家電各社にとって、家電販売における系列店の占める売り上げシェアが低くなってきた。併売型量販チェーンの台頭、あるいは物流コストの低減化などが念頭に置かれ、販社の統合、広域化が進んでいる。

 高額な家電製品の普及が一巡すると、系列小売店中心の販売拡大は頭打ちとなった。消費者は商品知識を身につけ、併売型量販チェーンで安価な商品を購入するようになった。

 また消費者は、海外から安価な輸入家電が入ってきたり、故障の少ないデジタル家電が普及したりしたことで、修理しながら長く商品を使用し続ける必要がなくなってきた。消費者が従来型の特定メーカーの系列の小売店から家電製品を購入するメリットが小さくなってきたわけである。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

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