第93回:流通業の歴史を紐解く

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第93回:流通業の歴史を紐解く

2006年8月20日

  流通業の主役は目まぐるしく変わってきた。戦後まもなく、相次いで誕生したスーパーは、戦前からの長い歴史を有す百貨店を追い抜いていった。70年代末に登場したコンビニエンスストアは、スーパーが長引く平成不況で伸び悩むなか、90年代に急成長を遂げ、日本の小売業の一角を占める巨大な存在となった。

 ただし、近年は生活必需品をコンビニエンスストアで購入する一方、そのほかの生活用品については、専門量販店で揃えるという消費者行動が一般的になってきた。小売業界の王座としてのコンビニの地位は、必ずしも安泰というわけではないのだ。


 日本の小売業の戦後は、激しい下克上の繰り返しであった。戦後まもなくの物不足の時代から、戦後復興期の大量消費社会、そして地球環境の危機が叫ばれるなかでの循環型社会への移行といった具合に、流通システムの社会的バックグラウンドも大きく変わったわけである。

 さらにいえば、今後、コンビニエンスストアや専門量販店を凌駕する新しい小売態が登場することも十分、考えられる。近年のネットビジネスの隆盛は、その萌芽ともなっている。例えば、インターネットを介して小売りを行うネットスーパーといったビジネスモデルも登場している。だが、これからの流通における新ビジネスモデルは、これまでの流通の歴史的な流れの中で誕生していくことは否定できない。
 
 それゆえ、流通の歴史を巨視的に展望することで、これからの流通小売業の物流システムがどのような方向に進むのかを、予見する目も養われることになるはずである。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

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