第83回;中小企業のSCM導入

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第83回;中小企業のSCM導入

2006年6月11日

 SCMの導入には相当の初期投資も覚悟しなければならない。支援ソフト、ハードの購入はもとより、物流施設の統廃合、あるいは新設なども必要になってくる。また取引先が少ない企業などにとっては、社内外の情報共有や全体最適といわれても、ピンと来ないだろう。

 実際、高額な初期投資を行っても、大きな成果を上げることができず、逆に経営が圧迫されるというケースも相当数にのぼっている。また日本の場合、大企業でも「SCMの導入はこれから」というところがかなりある。そのため、中小企業側は「率先してSCMを導入する必要性は低い」と考えがちだ。


 しかし、欧米でも日本でも、ベンチャー企業が積極的にSCMを導入したことで業績を伸ばしたという事例がたくさん存在する。たとえば、デルはトヨタのかんばん方式を徹底的に研究してSCMを構築、ベンチャー企業として大成功を収めた。日本企業でもセブン─イレブンは設立当初からSCMにつながる社内システムの構築を推進してきた。

 大企業は、SCMインフラのない中小企業をパートナー企業の選定からはずす傾向を強めている。業務効率化が悪く、情報化への対応が遅れている企業が生き残る道は狭められているといえる。

 たとえば、近年は中小企業のSCM導入支援ビジネスとして、アプリケーション・サービス・プロバイダー(ASP)が注目されている。ASPが在庫管理や基幹アプリケーションを提供するだけでなく、その管理サービスも行ってくれる。中小企業のSCM導入の動きも加速し始めたわけである。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

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