第82回:SCMを独自の手法で消化

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第82回:SCMを独自の手法で消化

2006年6月 4日

 アメリカのカジュアル衣料品大手のギャップ(GAP)はSCMを積極的に導入、構築してきたことで知られている。同社は自ら生みだしたSPA(アパレル製造小売業)戦略を展開し、業績を伸ばした。

 SPAとはドナルド・フィッシャー会長が同社の決算報告で用いた造語。いまではギャップ型の業態を広く指す言葉として定着した。いまやアパレル業界の主流ともなったビジネスモデルである。たとえば、日本のユニクロなどもSPA企業だ。


 SPAとはアパレル企業がデザイン、素材の調達から販売にいたるまでのサプライチェーンのプロセスをすべて一社で管理する手法。従来、アパレル業界ではデパートなどで商品が委託販売されていた。委託販売では一定期間内に売れなければ返品される。けれどもそれでは結局、「多めに仕入れられて、売れ残りは大量に返品される」ということになってしまう。委託販売制度のもとでは過剰在庫が発生しやすいわけである。
 そこでギャップは素材の調達、服などのデザインから販売までを一貫して行うことでSCMを徹底させた。販売データはIT管理され、綿密な需要予測を行うための基礎データとされた。

 ギャップ以前のカジュアル衣料品メーカーにはSCMの手法が浸透していなかった。そのため、先進的経営手法を取り入れたギャップの業績は、まさに無人の野を行く勢いで成長していったのだ。その結果、現在では多くのアパレル企業がギャップ式のSPAを導入していった。そうでなければギャップに対抗できなかったからである。

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

鈴木 邦成氏(すずき・くにのり)

鈴木邦成 物流エコノミスト・日本大学教授
国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

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